300本書いて一回もヒットしなかった彼は本気をだすのか
転生ものを読みたい
と駄々をこねた美少女が一人、潰れそうで潰れない、近所でまことしやかにささやかれる書店の従業員がいた。
「ごめんねぇ、うちの本屋は店長が気に入ったものしか置かないから」
店長の女房が笑顔で答えてくれていたのをよそに
仕方なく、スマホでおなろうを読むしか手段がなかった。
本当は紙で読みたい
本当は紙で読みたい
気が付くと、女房が床で失神していた。
それをよそに、彼女は自転車をこぎだした。
彼女は思い立つと早かった。
すべては紙で読むため
彼女は疾風のごとく家へ突入していった。
しかし逝くのも早かった。
家に突入する前に、車にお見事、彼女の体が命中し、彼女は死に至ってしまったのだ。
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彼女は無事起きた。
「やぁやぁ、そこの、案外胸がないお嬢ちゃん。」
「誰だお前は」
「私はこの国の皇太子ですよ。あなたは無断でこの国に立ち入ったので、始末しに来たんですよ」
白髪のイケメンがそこにいた。
「それでは、ここで死んでもらいます。」
彼女のおでこに剣を突き刺した。
ふと人生を思い返す。
身に染みる努力とはいかがなものか
頑張って頑張って、ようやく漫画家になれると思っていた暁に。
彼女の頬は二、少しずつ、滝ができてきていた。
静かだった。
「そんなに死ぬのが嫌と?」
彼女は静かにうなずいた。
「残念でした。」
彼はあざ笑うと、彼女の首をはねていた。
「カースト制度を知らないやつがいるもんだな」
彼は馬を城へと戻させていった。
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「ちょっと君ぃ、これで終わりかね、一体何が伝えたいのかさっぱりだよ」
KADOKAWAの編集長があきれていった。
「この良さがわからないやつは凡人確定だ。そうに決まってる」
彼は自信だけは超一流だった。
300作書いては一本もヒットせず、気づけば、作家デビューから10年もの月日が経過していたのだった。
「あのねぇきみ、」
「そうにきまってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
彼の狂気は一段と増していた。
「うわっ、前からナイフが!.....」
「編集長御抹消計画は、こんなにうまく行くものなのか」
「いや、それともオウンがよかったのか?」
「そうか、俺は、そういう奴だったんだな」
「はっはっはっはっはっはっ」
ミッキーにあこがれてたのだろうか。
ディズニーランドで
彼の人生の転機が訪れるのは
まだ先のお話である。