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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第6部 水の国)
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第78話 公爵令嬢は予想を当てたい


ー翌日。

 朝日が窓から差し込む。馬車に乗りながら寝ることはあまり無いので、腰が少し痛い。風の精霊以外は紋に戻ったようだ。風の精霊は外で木をすり抜けながら、自由に遊んでいる。飛びまわるのは楽しそうだ。

風の精霊の力で帰れば馬車より早くつくのだろうか。夜通し馬を走らせていたルルを休ませたい。街でレンタル馬車を用意する時に聞いてみよう。


「ルル、次の街へはあとどれくらいで着くかしら?」


 窓を開けて、ルルへ問いかける。


「おはようございます、お嬢様。およそ30分ほどで到着するかと思います」


「わかったわ。そこでレンタル馬車を手配して、馬を変えましょう」


「かしこまりました」


 街でレンタル馬車を1日あたり50銅貨で手配した。夜は休みながら向かうことになるが、あと2日ほどあれば着くだろう。一刻も早く帰り、情報の真偽を確認したい。


「朝食はどうされますか」


 精霊達の分も含めて、朝食と昼食を買わなくては。


「神・天大暴烈嵐強風シン・テンダイボウレツランキョウフウはご飯食べる?」


 姿が見えているわけではないが、近くにいるだろうと思い問いかける。


「フウでいいよ~。ご飯はどんなの?」


 一瞬で姿を現した。本当に風という感じの精霊だ。


「ライ麦パンを野菜やお肉で挟んだサンドイッチだよ」


「白くないならいいや~」


 言い終わると同時に姿が見えなくなった。他の精霊達よりも登場の仕方や消え方が精霊らしい。風の精霊フウは白い食べ物が好きなようだ。白い食べ物は光の国ではあまり思いつかない。水の国は「ライス」が主食の文化なので、白い食べ物が多いと聞いたことがある。サラマンディアちゃんと飲んだとてもおいしいお酒も白かった。

 6人分の朝食と弁当を買い、馬車を変えてアンソワ領へ向かう。



ー2日後の朝。

「お帰りなさいませ、お嬢様。国王がお越しになっています。旦那様が着替えたら客間へ来るようにとのことです」


こ、国王が……?王子の件でアンソワ家が絡んでいるのだろうか。それとも調査依頼か。婚約破棄され、庶民に落とされた手前なんだか会いにくい。


「わかりましたわ」


 豪勢なドレスに着替えるため、自室へ向かう。

 ダイヤが散りばめられた紺色の薄い長袖のパケーションドレスを選び、メイド達に着付けされる。髪型や服装を整えた後、王のいる客間へ向かう。

 執事がノックをする。


コンコン


「入れ!」


 お父様の声が響く。


「お久しぶりです。光の我が君。シエラール様の件、本当にお悔やみ申し上げます」


入室後、ドレスの裾を掴み、膝を曲げてシストアール王へ会釈する。栗色の髪に碧眼の王は、髪色は違うがシエラール王子と雰囲気がよく似ている。


「堅苦しい挨拶は良い。そしてシエルが死んだとは思っておらん。婚約した二人が刺し合うとも思えん。シエルの死体はまだ上がってない。ただ騎士団長が証言者でな……。聖女が剣で王子の心臓を刺すところを見たというのだ。真偽のほどは現在調査中だ」


 たしかに結婚までした上に、聖女が王子を殺すとは思えない。死体が無いのであれば殺害では無いだろう。シエラール王子の死体が上がっていないと聞き、少しだけ安心してしまった。


「たしかに婚約した二人が刺すとは思えませんわ」


 王の言葉に同意する。


「ああ、ただシエラールが事件の報せ以降、消息を絶っているのも事実。派閥争いを避けるためにも何かしら対策を講じなければならぬ」


 王は深刻そうな表情で呟く。


「そこでフィナリーヌに、、頼みがある」


 お父様が申し訳なさそうな声で話す。いつも堂々としているのに珍しい。


「はい、お父様」


 王と王都様からの頼みとあっては光の国のどの貴族でも断ることは出来ない。体裁上、平民となっているなら尚更だ。

 多分、頼み事も聖女と王子を探してほしいという依頼だろう。出来ることなら探しに行って念のため無事を確認したい。

いや行ってはダメだ。もし二人が王族の責務から逃げ出し、二人で幸せに暮らしているところを見たら立ち直れるか分からない。『国のため、お互いに切磋琢磨しよう』と言っていた言葉も何もかもが無くなってしまう。それだけは嫌だ。見たくない。


「皇位継承の跡目争いを避けるために、影武者として育ててきた第2王子エーミール様とすぐ婚約してほしい」


お父様が真剣な顔で言い放つ。

はい?え?誰?そして相変わらず予想が当たらない。

主人公所持金:3銀貨79銅貨(▲レンタル馬車1銀貨、ご飯6回×6人分×5銅貨=180銅貨、宿代2日2人分=100銅貨)



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