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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第5部 風の国)
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第72話 公爵令嬢は飛びたい

ー朝食後。


「それでは、歌の練習とダンスの練習をして頂きます」


 執事長に案内された部屋で、練習を始める。


「ダンスとは社交ダンスでしょうか?」


 社交ダンスは貴族の嗜みだ。だいたいの曲は踊れる自信がある。


「いいえ。風の精霊と契約している我が国の姫は、空を自由に飛びながら歌うのです」


「そ~らを~、じゆ~うに~とびたいな~♪って無理ですけど!」

「はい、私の精霊」


 執事はタケがコプターではなく、風精霊をてのひらに出してきた。


「ふぁ~。おはよ~、春風だよ~」


 手乗りサイズの風の精霊が、眠たそうに話す。


「風の国では、本当に色々な方が風の精霊と契約しているんですね!」


「そうですね。風の国では内戦で苦しむ人の救いになるよう、王女様が契約方法を公開しましたから。風の種類だけ風の精霊はいると言われています。軽く150は超えているでしょう」


風の精霊がそんなにいるとは驚きだ。


「春風様、フィナリーヌ様を持ち上げていただいてもいいでしょうか」


「風よ、大空に高く舞い、羽ばたけ。風羽ウィンドフェザー


 体の周りに風が起こり、ふわりと宙に浮く。


ドスンッ!


 すぐさま地に落ちた。


「痛っあい!!」


「やはり、無理でしたか。軽ければいけるかと思ったのですが」


「春風の魔力じゃ無理~!じゃあね!ばいば~い!」


風の精霊、春風は執事の紋へと戻っていった。


「お嬢様、お怪我はありませんか」


「ええ。問題ないわ」


 ルルに手を引かれ立ち上がる。


「申し訳ございません。風の魔法で浮くことができればと思ったのですが」


「無理だったみたいですね。私も精霊を読んでみますわ」


 目を瞑り、アンディーンやサラマンディアを呼びだした時と同じセリフを唱える。


「魂の声を聞け。我の魂に呼応する風の精霊よ。我が呼びかけに応じ、姿を現せ。sammon」


 だがしかし何も起こらない。


「魂の声を聞け。我の魂に呼応する風の精霊よ。我が呼びかけに応じ、姿を現せ」


 やはり何も起こらない。


「ここで呼べるわけないのぉ」


 光の精霊が出てきた。


「精霊様の仰せの通り、風の吹いていないところで呼び出すのは難しいかと……。そしてほぼ全ての風の精霊は我が国民と契約していると思われます」


 あ、穴があったら入りたい。正直呼び出せると思っていました。風魔法も上級まで使えるし、全属性に適正があるので、風の精霊とも契約ができると思っていました。なんせ今は風の精霊以外と契約しちゃってますし。なのでsammonとか必要のない呪文までいっちゃって、あれ?変な言葉をつけたから、呼べないのかなと思ってもう一回言ってしまいました。


「風よ、いでよ。風球ウィンドボール


 穴ではなく、風球の中に入り、浮く。


「おぉ、風精霊と契約していないのに空を飛ぶ方は初めて見ました。自由に動けるのでしょうか」


 執事が拍手をしながら問いかける。


「いえ、横移動はゆっくりでないとできません。自由に飛ぶのは難しいです」


「そうでしたか。では当日は背中に透明な紐を伸ばして、飛び回ることにしましょう。

 さて、本題に入りますが、ダンスの練習とは浮いている時の動きや、ステージの上にいるときの動きを練習してもらいます」


 執事は紙に書いたダンスのポーズを見せてくる。


「まずはこのダンスポーズを明日までに覚えてください」


「あ、あしたですか?」


「覚えないと話になりませんので。今日は歌の練習をメインに。明日からは午前は踊り、午後は歌というスケジュールをこなして頂きます」


 訓練で走り続けていたほうが楽だったかもしれない。


「ただやらされるとあっては、気持ちも乗らないでしょう。そこでフィナリーヌ様には見ていただきたいものがあります」


 執事に渡されたのは、数十枚のフォトーだった。


「これは内戦の記録して、魔道具フォトーで取った写真です」


 見せられた写真には、内戦時の殺し合いをしている様子、子どもが泣き叫ぶ様子、終戦後の人々の暗い表情が写されていた。見ているだけで心が苦しくなり、涙が出そうになる。戦争を経験しておらず、人も殺したことがないので想像しか出来ないが、とても悲惨だったことがひしひしと伝わる。


「そしてこちらが、女王が歌う前と歌った後の様子です」


 歌う前は、皆、目が死んでいた。内戦が終わったとしても、家もない、畑も焼けて明日からどう生きればいいのか分からないという顔だった。

 女王の歌の後は、目に光が灯り、右腕をあげて女王を応援している。とても楽しそうな雰囲気にかわっていた。


「人々が女王を心の支えにしているのがよく伝わるフォトーですね」


「はい、そうです。ですからコンサートを中止するわけには行きません。貴族派の残党を狩るためにも必ず開きたいのです」


 今、後半に本音が聞こえたような。私を囮に貴族派閥を誘き寄せようとしているのだろうか。

 襲われたところで、ルルもいて精霊達もいるのでだいたいの敵なら撃退できるだろう。


「わかりました。人々の支えになるのなら、協力は惜しみません」


「そういって頂けると本当にありがたいです。今回は光の国へ避難した民もコンサートを聞きに来るので、より一層力を入れたいと思っているのです。

 では発声練習から始めましょう」


 早口言葉や複式呼吸について教わり、声の出し方を学んだ。后妃となるべく指導された中に、民草を誘導するための喋り方があった。その声の出し方と似ている。

主人公所持金:7銀貨59銅貨

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