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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第5部 風の国)
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第69話 公爵令嬢は抜け出したい


ー翌日。


「明後日は、虹祭りだな」


 走り込み中に聞こえてきた言葉が、脳に留まる。

 虹祭りは梅雨が終わり、晴れが広がる季節の変わり目にするお祭りだ。街も虹色に彩られ、梅雨の暗い気分が一変し明るくなれるのだ。私のこの日々も一変してほしい。

 虹祭りに思いを馳せながら、頭の中で脱走計画を練り始める。明後日のお昼過ぎ、訓練場ではなく外回りを走ると言い、脱走しよう。



ー2日後。

 昼食後、自室に戻り、土の国で貰った魔力感知疎外の黒マントを用意する。

 午後の走り込みで壁の塀に近づき、マントを羽織り、風球で塀を飛び越える。飛び越えた後は、風球を背中にあて森を走り抜け、祭りへ向かう。訓練では風球を使わず走るので、訓練の走り込みと比べるととても楽だ。以前よりも体が軽やかになったような気がする。



 デフィエンド領の中心街はまだ祭りが始まっていないのに、賑わっていた。

 店が並ぶ通りは、アンソワ領と変わらないが、居住地の建物は20階や30階建ての建物が多く、家と家が密集している。これは風の国の内戦時に難民を受け入れたからだ。人が溢れたため、横ではなく縦に居住地を伸ばし、住む場所を増やしたのだ。


 中心街の通りを行き来する人々は、風の国の民もいるのか、肩に風の精霊を乗せている人達が何人かいた。風の国の王女は風の精霊と契約する方法を国民に公開したため、風魔法の適正が高く精霊と親和性のある者は平民でも契約をしているのだ。


 祭りの出店から良い香りが漂う。小麦を練り薄く伸ばした生地の上にトマトやお肉を乗せオーブンで焼いた香りだ。風の国の料理が出店として出ているようだ。


「アンディーン、ドリアド、サラマンディア、グノム、ミノム。ピッザニアいる?」


 精霊たちを呼び出し、一緒に食べるか確認する。


「「「「いる」」」」

「……」



 サラマンディア以外は、食べると答えた。予想通りだ。グノムとミノムはトマトの部分だけを食べそうだ。

 15銅貨を支払い、ピッザニアを買い、5等分にして食べる。

 通常なら5銅貨で売られているだろうが、お祭り価格なのと一番大きなピッザニアを注文したので、少し高かった。


「あ、イケメン!」

「あれなにぃ?」

「この食べ物はなんというのだ」


 ピッザニアを食べ終えた後、精霊達は各々の興味を引くところへ行きたそうだ。

 せっかくの祭りなので、精霊達には30銅貨ずつ渡し、楽しんでくるよう伝え自由行動をする。なぜかグノムとミノムは私の肩の上に残った。


「二人も行ってきていいのよ」


「小さい体で動き回ってると、人間に捕まえられるから嫌。フィーナの傍にいる」


 たしかにミノムの言う通りだ。子どもが二人を見かけたら容赦なく握りつぶしそうだ。


「これ、重くて持つの大変だからあげる」


 グノムが30銅貨入った袋を肩に乗せる。小さな二人には重かったようだ。


「そっかぁ!なら一緒に回ろうか」


「「うん」」


「二人は何かしたいことある?」


「熱いの我慢大会したい」


 ミノムが答える。


「なにそれ?」


「木の箱に入って、熱い蒸気で体を温めるところ!最後までいた人が勝ちなんだよ」


 ミノムの説明はあまりよく分からなかった。土の国特有の祭りだろうか?


「僕熱いの嫌ー」


 グノムは熱いところは嫌なようだ。


「もしあったら、見てみよっか」


「うん」


 ここは光の国なのでおそらくないだろう。あっても風の国の出店だ。


「グノムはどんなことしたい?」


「ぼ、僕はー。子どもの祭りに興味無いからフィーナが決めていいよ」


「私が決めていいの?」


「か、勘違いすんなよ!別にフィーナが行きたいところが気になるとかそういうんじゃないから!」


「「そうなんだ~」」


ミノムと一緒に口元をニヤつかせる。


「ではわたくしこと、フィナリーヌが光の国の祭りの楽しみ方を教えさしあげましょう。

まずはこれ!光の国の特産、でんでん虫のオリーブオイル焼き!」


 食欲をそそるパセリとニンニクの香りが芳ばしい。私は食べたことないけど。


「なんか見た目が気持ち悪い……」


 私もグノムの感想と同意見である。


「やっぱり嫌だよね……。一応光の国の特産なんだけど……」


 あからさまにしょんぼりとした雰囲気で、グノムを見つめながら話す。

 

「ひ、一口だけなら食べてやるよ」


 グノムが木の串で、でんでん虫の中身を取り出す。


「お、おいしいかな?」


「……。うん」

 美味しいのか!意外だ!絶対食べないけど。


「美味しいなら、僕も食べっよ」


 ミノムはもう1本の串で、残り全てのでんでん虫を刺し、取り出さす。5つのでんでん虫が1本の串に刺さっている。


「思ったより食べれる。クリーミーなのに鉄分多くて、僕達、そこそこ好きかも。」


 ミノムはでんでん虫を食べながら話す。

 グノムがミノムの右手にあるでんでん虫を見つめる。


「お兄ちゃん、そんなに見つめてどうしたの?」

「ミノム、取りすぎだぞ。一つ返せ」

「欲しいならちゃんとお願いしないとダメでしょ?」

「なんでだ!これは僕達の分だ!一緒に食べなきゃだめだろ」

「お兄ちゃんの癖に、くださいも言えないなんて。仕方ないなあ~、ほらアーンってして」


 グノムの口にミノムがもっている竹串の先端が刺さる。


コツっ


 土の精霊だからか、グサッと刺さるわけではないらしい。

 グノムは串の先を持ち、取り上げようと強く引っ張る。


「わ、わぁ」


 勢いよく引っ張られたので、串だけでなくミノムも引き寄せられ、グノムとミノムがぶつかる。


ゴツっ


 二人の頭がぶつかった。二人とも固そうな音だ。


「二人とも仲良く食べるんだよ~」


 二人とも仲良しだ。見ていて微笑ましい。

主人公所持金:7銀貨84銅貨(▲小遣い30銅貨×5、ピザ15銅貨)


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