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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第4部:土の国)
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第61話 公爵令嬢はブラコンしたい

客間で王様に呼ばれるのを待つ。

 ルルと合流させてほしいと言い、客間で紅茶を飲んでいた。ルルは横に立っている。

 病を治したわけではないが、延命には成功した。1か月の間に聖女を呼んでもらえば治るだろう。目途が立ち、安心したからお腹の虫が大きな音を立て、淑女らしさを奪う。


「普段なら、夜ご飯を用意する時間ですね」


 ルルがお腹の音を聞き、少しだけ笑った。いつも固い表情なので少し意外だ。


「お兄様の釈放ついでに豪華な夜ご飯もお願いしようかしら……」


 冗談のつもりだったが、精霊達はとても食べたそうだ。


 客間の扉を叩く音がした。


「よろしいでしょうか」


 騎士の声がした。


「ええ、かまいませんわ」


 王が落ち着き、やっと呼ばれたかと思い立ちあがる。

 扉が外側から開き、客間に一人の男性が入ってくる。


「……!お兄様!」


「フィナ?こんなところで何をしているのかな」


 お兄様は学院の制服を着ており、手錠も拷問された痕もなく、綺麗な姿をしていた。栗色の目には、怒りの炎が写り込んでいる。


「お兄様、ご無事で良かったです。逮捕されたと聞き、居ても立っても居られなくて」


 兄をとても心配したか弱い令嬢を演じて、怒りがなくなるよう振舞う。


「僕は逮捕なんてされてないけれど?それより鉱石を持って光の国へ行くように言ったよね。桜さんを無事土の国から出国させてくれたのはとっても助かったけど、王宮まで来るのはちょっとやりすぎだよ。一歩間違えれば国家間の問題になるのが分からないかな?」


「!!??!」


兄は逮捕されていなかった!?衛兵は何を捕まえたのか……。

 再度、客間の外から騎士の声がする。


「王様のおなーりー」


 扉が開き、王様が客間へ来た。まさか王様がこちらに来るとは思わなかった。兄に怒られている姿は見られたくない。そして謁見の間に呼んで貰えれば兄の怒りから逃げられたのに。


 客間へ入ってきた王の後ろには手錠をされ、騎士と鎖で繋がれた男がいた。その男は顎が二つに割れ、けつアゴとなり、目は釣り目になっている。紙面のフォトーに写っていた男そのものだ。


「貴様の兄を連れてきてやったぞ」


 王は含んだ笑みを浮かべ、鎖で繋がれた男を差し出す。

 兄ではないと分かった上で話をしていた。狐につままれた気分だ。


「この度は、妹がご迷惑をおかけし本当に申し訳ございません」


 兄が深々と頭を下げる。

 王は、騎士や男を客間から下がらせ話を続ける。


「いや、よいのだ。どの医者にもできなかったことをしてくれたのだ。病が改善してくれただけでありがたい」


「砂漠の薔薇の他にも治す手段があったとは知りませんでした」


 兄の言葉を訂正する。


「いえ、お兄様。病を完全に治したわけではありません。また1か月後には本日と同じ症状になるでしょう。それまでに治す方法を考えなければなりません。

 そこで提案があります。

 光の国の聖女には、治癒や治療ではなく、回復という力があるそうです。人の病や失った体の部位まで取り戻すことができる力だと言われています。聖女ポインセチアに依頼してはいかがでしょうか」


「聖女に神話のような力が実際にあったとは知らなかった。確認をとり正式に依頼しよう。もし治らなかった場合は再度、フィナリーヌ殿の力をお借りしたい」


 王が深々と頭を下げた。


「頭を上げてください。妹に頭を下げる必要なんてありません」


 兄が慌てた様子で王様へ言う。


「こたびはそなたにも迷惑をかけたな。これからも仲良くしてくれ」


 王様は兄と握手をする。謎に仲良しだ。


「あのー、どうしてお兄様は王宮へいるのでしょうか」


「それは……」


 まとめると、兄の親友が砂漠の薔薇を持っていた。それを横から奪おうとしたのが、捕まっていた男。親友は瀕死の重症だったが一命はとりとめ、砂漠の薔薇を兄に託す。貴族や刺客から砂漠の薔薇を狙われ、持っていると危ないと思い、知り合いの店に預けた。砂漠の薔薇を光の国へ運び、知り合いである王子の部屋で身を潜め、砂漠の薔薇の噂が落ち着いたら復学しようと思っていたが、フィーナという冒険者に広められ、収拾の目途が立たなった。



 そして王様は以前から砂漠の薔薇を売ってほしいと兄の親友と交渉していた。荒事にしたくなかったが、余命があと2日と言われ、横暴な手段に出た。

 エドアルド・アンソワからやっとの思いで砂漠の薔薇の在り処を聞き出し、回収に向かわせたが、フィナリーヌが持っていった後だった。



ということらしい。

 城内のダイニングルームへ移動し、食卓を囲みながら兄、王、王子とそれぞれの長い話を聞いた。お互いの思惑が色々交錯した結果が今のようだ。色々あったが無事解決できてよかった。


(アンディーン達が食べたがっておるぞお)


 王様から許可を取り、精霊達を呼ぶ。


「アンディーン、ドリアド、グノム・ミノム」


 精霊達が姿を現す。

 王や兄が跪こうとしたが、アンディーンが止める。


「フィナリーヌ、いつの間にこんなに精霊と……」


 お兄様のぽっかり空いたお口に野菜を入れたら怒られるだろうか。お兄様の珍しい表情についいたずらしたくなってしまう。もちろん王の御前でそのようなことはしない。


「えいっ」


 ドリアドがお肉の隣にある、ニンジンをお兄様の口に入れる。


「ごほっ」


 兄が咳き込む。普段の兄ならめちゃくちゃ怒る。というかもう目が怒っている。ゆっくりとドリアドから私の方へ顔を向ける。精霊への教育はどうなっているのかと圧をかけられているようだ。


 ドリアドやめてぇぇえ


「ふふ。久しぶりの美男子だったから、つい」


 ここぞとばかりにすごい色気をだしている。


「お戯れを」


 お兄様、ドリアドは本当に美男子が好きなんです。お世辞じゃないんです。


 食べきれない量の豪勢な料理が並べられたが、精霊達も食べたからか、全て食べきってしまった。 


「今後の砂漠の薔薇の所有についてですが、土の精霊と契約してしまったフィーナリーヌに管理を任せようと思います。

 友人には私から伝えておくから安心してほしい」


「「さんせーい」」


 グノムとミノムがお兄様の言葉に同意し、国王も頷く。 



 食事の後は、アンソワ家よりもかなり広い大きなお風呂へ入った。

 湯船は光沢のあるマーブル模様の石で出来ており、肌ざわりも隆起が全く無い滑らかなものだ。ずっと入浴したいと思えるくらい綺麗で立派なお風呂だった。


 入浴後は城の離れに通され、ベッドのある個室に案内された。さすがに城の中には客用のベッドは無いようだ。ルルは隣の部屋へ通されていた。


 ベッドに入るととても深い深い眠りについた。

主人公所持金:15銀貨14銅貨

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