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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第4部:土の国)
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第59話 公爵令嬢は交渉したい


「公爵の娘、フィナリーヌ・アンソワ様が砂漠の薔薇についてお話があると光の国より起こしになりました」

 

 王直属の騎士と思われる人物が、謁見の間の入り口で叫ぶ。


「通せ!」


 謁見の間から男の声が聞こえた。

 二人の鎧を着た騎士が、扉を押し、閉まらないように抑えながら立つ。

 騎士の前を堂々とした態度で歩き、謁見の間に一人で入る。王の御前に侍女は連れていけないと、ルルは控え室へ案内された。


「光の国のアンソワ公爵の娘、フィナリーヌと申します。この度はお時間を作っていただきありがとうございます」


 左手でスカートの裾を掴み、右手を前に伸ばす。左足を右足の後ろに下げて膝を曲げ、最大の敬意を表したお辞儀をする。


謁見の間は、奥に赤い大きな椅子が置かれ、床には真っ赤な絨毯が敷かれていた。

椅子の位置は床から3段高く、立った状態で王様と向かい合っても、王様の方が少し頭の位置が高い。

部屋の横には、数人の護衛騎士が並んでいた。


「構わん。顔を上げよ」


 お辞儀をやめ、王様と向き合う。


「早速本題に入るが、良いだろうか」


「はい、構いません」


「砂漠の薔薇を渡して貰いたい。もちろんタダとは言わない。言い値で買おう」


「申し訳ございません、お金で渡すことは出来ません」


「そうか。ならばそなたの望みはなんだ?」


「私の望みは……」


言葉選びのため少し呼吸を置くと、周りにいた騎士達が剣の柄を握り、警戒する。

ルルが瞬殺した話が伝わっているのか、かなり警戒されているようだ。

お陰で砂漠の薔薇を強奪するのではなく、交渉して取ろうとしてくれるのは有難い。


「私の望みは、兄であるエドアルド・アンソワの釈放です」


「良かろう。それでは砂漠の薔薇を渡してもらうぞ」


「「僕達を渡さないで」」


背中に隠れながら小声でミノムとグノムが呟く。取って食べようとしているかもしれない人前に出るのは嫌なようだ。

もちろん、砂漠の薔薇を渡すことはできない。ミノムとグノムを見殺しにするつもりはない。


「砂漠の薔薇も……渡すことは出来ません」


「そなた、ふざけておるのか?兄、エドアルドが処刑されても良いのか?」


「いくらなんでも処刑は!」


「命を奪った者は命であがなうのがこの国の法典だ」


「兄の命を奪えば、光の国の民は黙っていません!戦争になりますよ!」


処罰ならまだしも、死刑だけはされないように交渉したい。脅した程度で手を引いてくれるとは思えないが、思いつく限りの言葉で、兄の安全を確保する。


「土の国で起きたことは、土の国が対処する。光の国とはそういう平等条約を結んでいる。公爵の息子だからといって、外交使節でもない者が法を犯せば、法で罰せられるのは当たり前のことだ。何も問題はない」


たしかに他国とは平等な条約を結び、裁きもそれぞれの国で行われている。他国で法を犯せば、その国の法で裁かれるのは当たり前だ。


「たしかに国家間ではそのような条約になっておりますわ。しかしアンソワ家領主、エドマンド・アンソワが黙っていないはずです。領地と国家の小競り合いとなる可能性も……」


困ったときの父頼みをしてみる。虎の威を借りなければ困難な状況を抜けられない自分の無力さに悲しくなる。


「そなた、本当にエドマンドの娘か?エドマンドが一人の命の為に、領民を危険に晒すわけがない」


そ、その通りですうう。土の国の王様はお父様の人物像を詳しく知っているようだ。

王様の思考が自分よりも上で、もう兄を助け出す言葉が思いつかない。頭が真っ白になる。


(しかたないやつじゃのお)


「土の国の王よ、そちは何故なにゆえに砂漠の薔薇を欲しているのか」


 光の精霊が土の国の王へ問いかける。


「あなた様が、噂に聞く光の精霊様ですか。お会いできて光栄です。このような状態でお話することをお許しください」


 民の前だからか、頭は下げなかったが最大の敬意が伝わってきた。


「よい、それよりも理由を述べよ」


「私事で恐縮ですが、娘が病で伏せっており余命がもう幾許いくばくも無いのです。足先から少しずつ筋肉が無くなり、今は体を動かすことはできません。このままだともう少しで心臓も止まるでしょう。そのためどんな病をも治す砂漠の薔薇が今すぐ必要なのです」


「なるほどのお」


 光の国が感慨深いような口ぶりで理解を示す。


(光治癒で治せる?)


 脳内で光の精霊に確認する。


(傷は癒やせるが、病は無理だ)


「王様の事情は承知しました。少しお時間を頂けませんか。冷静に考える時間を頂きたいです」


すぐには兄を助ける方法も、王様の娘を助ける方法も思いつかなかったので一時退散させてほしいと伝える。


「考える時間が必要か?そなたは私の娘を助けようとは思ってくれないのか」


「そんなことはありません、ただ私にも助けたい人がいるのです」


 正確には人ではなく精霊だ。


「まさか、、そなたの身内がなにか病気なのか。よし、分かった。最後に手紙を書くくらいは許そう。一度客間へ戻るがよい」


 王様は何故か勘違いをしてくれたようだ。

主人公所持金:15銀貨14銅貨

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