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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第4部:土の国)
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第53話 公爵令嬢は観光したい

◇◇◇

 

 土の国では、魔道具屋や鍛冶屋が有名だ。職人気質のドワーフが多く、一流の剣や盾が並んでいる。

 精霊達も見て回りたいというので、通りを一緒に歩く。赤、緑、青系のカラフルな美男子を引き連れて歩くとすごく目立ってしまう。後ろにいれば私の存在は霞んで消えているだろう。きっと私だけは目立ってないはず……だ。


「フィーナ、ちょっとこのお店はいってみましょうよ」


 ドリアドに裾を引っ張られ、高級そうな魔道具店へ入る。

 その魔道具屋はブレスレットやペンダントなどのアクセサリーを中心に取り扱っているお店だった。商品は全てガラスのケースに入れられ、等間隔に並んでいる。価格札の隣に付与された効能がかかれていた。


「商品名:❘皇帝のペンダント(赤)《インペリアルレッドペンダント》

 価 格:70銀貨

 効 能:魔法補助 魔力の出をよくします」


 ここで大事なのは、効果ではなく効能と書かれているところだ。効果はもたらされる結果のことだが、効能は結果をもたらすまでの過程のことだ。

 魔力の出をよくすると書かれているが、実際は『魔力の出をよくする神経に働きかけます。効果は保証しません』と記載されているのだ。効果目的で買う場合は気を付けなければ。


「これ可愛い~!」


 ドリアドが手に取ったのは雫の形をしたペンダントだ。小さな銀色のチェーンに、赤紫色のルビーがぶら下がっている。髪色の補色だからか、とても似合っている。宝石が埋め込まれているため、値段は金貨1枚だ。


「お客様、お目が高い。こちらはピジョンブラッドと呼ばれる、貴重な鉱石を使用しております。非加熱のため透明感が足りないと思われるかもしれませんが、目の覚めるような鮮やかさの中にわずかな翳りがある美しい赤を表現するためにあえて非加熱なものを採用しております」

 

「欲しいいい~。ねぇアンディーン買ってぇ♡」


 ドリアドはアンディーンにオカマ声でおねだりをする。


「誰が貴様に買うものか」


アンディーンはドリアドに冷たくあしらう。


「えぇ~!まぁ仕方ないわね。人族のお金なんて持ってない無一文プーさんだものね」


「だれがプーさんだ」


「サラマンディア買って~」


アンディーンは取り付く島がないため、サラマンディアにおねだりをする。


「…」


サラマンディアは無言のまま顔を背ける。精霊達は誰も硬貨を持っていないようだ。ドリアドに関してはつい最近まで物々交換の世界だったからお金の価値についても知らなさそうだ。


「えぇ~。もしかして誰も持ってないのぉ~?大精霊が3人もいて誰も買えないってちょっと絶望」


「すみません。砂漠の薔薇について知りませんか」


 ドリアドの隣にいた店員へフォト―を見せながら話しかける。


「最近、噂になっている鉱石ですね。お店を10年していますが、見たことがありません」


 噂の原因は午前の横断幕だろうか……。


「そうですか……。ありがとうございます」


 ドリアドを引きずって、お店を出る。


 通りに出ると、ドリアドはアンディーンを引っ張って防具・衣服店へ。店頭に飾られている防具は、防具とは思えないくらいオシャレな服だ。ちょっと欲しい。

 サラマンディアは衣服店の前にある酒店へ歩いていった。団体行動を乱すなと言いたいところだが、一言ですぐ紋に戻すことが出来るので、別行動することにした。

 鉱石を取り扱っていそうなお店を探すため、サラマンディアの後ろを歩いて通りすぎようとしたら腕を掴まれ引き留められた。


「どうかした?サラマンディア」


「……」


サラマンディアは黒い酒瓶を左手で抱きかかえていた。たしか黒ビールと呼ばれる土の国の特有の酒だ。

苦みは弱めで、爽やかな味わいがあり、焙煎した麦芽を使うことで、チョコレートやコーヒーを彷彿とさせる風味を楽しめる一品だ。

サラマンディアは無言でお酒を買って欲しそうに見つめてくる。


「……。フィナ、俺と一緒に飲もう」


「!!??!?」


 急に愛称で呼ばれ、息をのむ。呼吸を忘れた肺が動けと責めたて左胸を激しく動かしてくる。

 思考は停止し、体は硬直したまま、アンディーンを見つめ返す。アンディーンの冷静な眼差しは余計に思考をかき乱す。

 『買って』ではなく『一緒に飲もう』というあたり、女の喜ばせ方を知っているとしか思えない。冷たい声で優しく話しかけてくるギャップに心臓が締め付けられ、しばらく無言の時間が流れた。

 

「……。すみません。こちらの商品おいくらですか」


「15銅貨です」 


 お酒を買うつもりは全くなかったが買ってしまった。おそるべしイケメン力。


「今日の夜、楽しみ」


 サラマンディアは悪戯な小さい笑みを浮かべて、紋へ戻っていった。

 その顔は反則すぎる。そして言葉が意味深すぎる。いや、お酒が楽しみなのは分かっているけれど、違う意味に聞こえてしまう。もっと別の言い方と表情があるでしょうがあああ。

 鳴りやまない心臓に対し、冷静になれる言い訳をたくさん並べながら歩く。

 一人で歩いていると悶々としてしまいそうなので、ドリアド達が入ったお店へ行くことにした。


主人公所持金:16銀貨28銅貨(▲15銅貨の黒ビール)

一緒に飲むシーンは、短編で書きます(まだ書いてない)


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