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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第3部:木の国)
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第48話 公爵令嬢は見つけたい

ー翌日。

 カーテンを開ける音で目を覚ます。久しぶりに安心して寝ることができ、気持ちよく目が覚めた。


「お嬢様、旦那様と奥様が食事処でお待ちです」


着替えて、食事する部屋へ移動する。


「久しぶり、フィナリーヌ。あなたまだ白目で寝るの直って無いのね」


名前を呼ぶまでは本当に心配した声と表情だったが、後ろについてきた言葉で、本当に心配されているのか怪しくなる。お母様はどうやら王都から帰宅した後、寝ている私の自室を尋ねたようだ。


「おほほほほ。お久しぶりです。お父様、お母様。昨晩は走り通しで疲れていたため、お先に失礼致しましたわ」


「本当に無事でよかった。手紙一つよこさないので、本当に死んだかと……」


父がこめかみを掴んで、顔を上に向ける。


「そんなことより、お父様、水の国と揉め事が起きていると聞きました。何かあったのでしょうか」


「ああ、水竜の件についてな」


「魔水竜カリブデスですか?」


「光の国ではフィーナの功労となり、水の国では水の精霊を呼び出した者の功労となっている。そして水の精霊を呼び出したのは、水の国だと言っているんだ。既に魔水龍を倒したのはフィーナだと噂が広まっているのが嫌らしい。金貨30枚の内、15枚は水の国が払う約束だったのだが、払わないと言い始めた。それで支払いが滞っている冒険者達が怒っているのだ」


「たしかに私は火の国で、魔水竜を倒した英雄のように扱われました」


「こんなことで、国同士が揉めるなど実に下らん。大精霊アンディーンを召喚した者が名乗り出れば、すぐに解決できるんだがな」


「呼び出したのはわたくしです。アンディーン」


アンディーンを呼び出し、姿を現す。


「これは大精霊様」


お父様とお母様が膝まづく。

アンディーンに膝まづくのは癪だが念のためお父様とお母様の真似して膝まづく。


「フィーナリーヌ以外普通にして良い」


アンディーンが調子づいていたのですぐに紋に戻す。


「紋に戻れ」


3人とも椅子に座り、話を続ける。


「まさか本当にフィナリーヌが大精霊を呼び出していたとは」


「母、感激です。あんなにやんちゃだった、うちの子がこんなに立派になって」


「ただこれでこの件は解決しそうだ。水の国に書簡を送ろう。魔道具フォトーで撮影した物も同封すれば文句はないだろう」


「そうですね。お父様、お母様。私からも1点火急の用がございます」


「どうした」


木の国が開国したこと、協定を結びたがっていることを伝え、手紙を渡す。


「次から次へと問題が……」


お父様が頭を抱えながら、ベルを鳴らす。


「お呼びでしょうか」


執事長がお父様の隣に現れる。


「この手紙を読んで、適切な人材を選出しろ。テレフォンバードには、援助することと数日後に人を送ることを伝えろ」


「承知しました」


執事長は部屋を出て人を呼び、馬車を手配するようメイドに指示をする。これで木の国の案件から解放された。


「そういえば、フィーナ。魔水竜討伐の報奨金を預かっていたから渡そう」


金貨30枚の内、何割貰えるのか想像してニヤける。自分で稼いだお金とはこうも嬉しいものなのだろうか。金貨8枚くらいが妥当な金額だろうか。メイドから渡された袋をあけ、中を確認する。


「報奨金、銀貨3枚だけですか!?」


「すまないな。金貨30枚の支払いについて、冒険者フィーナは攻撃を1度もあてていないということで、山分けの対象外になっている」


「!?」


たしかに風球ウィンドボールで包んだだけで、攻撃は一度も当てていない。当てていないけれども!!!


「実際に精霊を呼び出したのは、誰か分からなかったからな」


「頑張ったのに銀貨5枚……」


「まぁ、そう落ち込むな。我ら貴族は税を徴収する分、このような不祥事には無償で対処しなければな。私なんて報酬も褒美もないぞ!」


報酬がなくても戦地へ向かうお父様は本当の英雄だ。しかしそれはそれ、これはこれ、である。英雄扱いをしている癖に報酬を振り分けないとは……。水の国と大差ないではないか!


「フィナリーヌ、エドアルドから手紙が届いてましたよ」


母から手紙を受け取り、自室に戻る。


 便箋の真ん中についた蝋をナイフで切り、手紙を取り出す。


拝啓 

桜若葉がみずみずしい季節となりました。平民になると聞きましたが、ちゃんとご飯は食べていますか。

 お父様とお母様には勉強が忙しくなるので暫く手紙が書けないと伝えていますが、フィナには本当のことを伝えます。

 実は、土の国から命を狙われており、身を潜めています。お父様とお母様に心労をかけないよう、また国同士の問題に発展しないようこのことは内密にお願いします。

 そこで平民になったフィナに折り入ってお願いがあります。土の国で助けて頂きたい女性がいます。桜という女性です。個人的な事情に無関係な女性を巻き込んでしまいました。その女性だけはなんとか土の国から出してあげたいのです。桜という剣使いの女性を探し出し、無事、土の国から出れるようお願いしてもいいでしょうか。

 暫く、連絡が取れなくなりますが、兄は必ず帰りますので心配しないでください。

 フィナも体にはくれぐれも気をつけて。    敬具


 数日間、中心街で買い物したりケーキを食べたりしたかったのに叶いそうにない。

 急ぎ桜という女性を探しに行かなければ。土の国に行った時期を考えると、おそらく桜師匠のことだろう。

 お父様とお母様には、『お兄様が会いたくて会いたくて震えているので、土の国へ行ってきます』と書き置きをして、家を出た。両親へ話すと止められるのは目に見えていたから直接伝えるのは止めた。



 馬車に乗り、2日間で土の国と光の国の国境まで来た。食事代90銅貨(3人分)、馬車レンタル代で1銀貨だった。


 国境の検問が終わり、通行料30銅貨を支払う。残り18銀貨33銅貨だ。

 土の国へ入国すると門の前に桜師匠と白狐がいた。

主人公所持金:18銀貨33銅貨(+報奨金5銀貨、▲2日分の食事90銅貨、▲馬車レンタル1銀貨、▲通行料30銅貨)



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