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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第3部:木の国)
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第46話 公爵令嬢は帰りたい

 ドリアドが消えると木の国の周りを覆っていた白い霧が晴れる。おそらく結界がなくなったのだ。そして樹木から、2人のエルフが現れた。


「父ちゃん、母ちゃん」


 願いを叶える力が失われたことで、コディマの願いも取り消されたようだ。コディマが父と母にかけより、泣いている。意識のないコディマの父と母をアンディーンに運んでもらい、泣きじゃくるコディマを抱っこして村へ戻ることにした。

 村に戻る前に、ドリアドの遺品として原初樹木の燃えていない枝を一本持って、鞄にしまう。


 村へ戻ると、エルフ達は大混乱に陥っていた。ある者は力を失い、ある者は財を失い、ある者は権力を失う。ただ泣き続ける者、神を失い恐れている者、色々な感情が入り乱れていた。


「エルフの民達よー!ここが正念場である!今こそ全ての民が協力しあい、木の国の礎を築こうぞ!」


 第1村の村長ヤドナシが広場にある台の上で叫んだ。いやあれはホームレスか。ホームレスの見た目がボロボロの衣装から、白いシルクの衣装に変わっている。見た目はあまり変わっていないが、目には熱い光が灯り、芯の強さが滲み出ていた。


「フィーナ殿、木の国が各国と協定を結べるよう、他国について教えていただけませんか。まずは国境を整備し、住民の安全を確保しようと思います。どうか木の国のため、お力添え頂けませんか」


 広場や周辺にいた、エルフの人達の熱い視線から目を背けることができず、承諾してしまった。

 本当はそろそろ光の国に帰りたい。


「フィーナ殿、コディマの両親を送り届けたら客間まで来てくれ。今後の打ち合わせがしたい」


「分かりました」


 広場の騒音で、コディマの両親が意識を取り戻す。


「『ここは一体……』」


両親が辺りを見回す。目覚めた両親にコディマが飛びつく。


「父ちゃん、母ちゃん。ごめん。ゴメンよ」


事のあらましを説明し、家まで送り届ける。コディマの元の家は2階建ての木造集合住宅だった。


「この度は、お世話になりました」

「ありがとな。姉ちゃん」


コディマの両親は深々を頭を下げ、お礼を言う。


「いえ。私は、なにも……」


これは、ヤドナシが原初樹木を燃やしたことで得たものである。失った物が大きいのか得たものが大きいのか分からなくなる。


 送り届けた後は、各村の村長と村長代理ホームレスと打ち合わせをするべく客間へ向かう。

 客間へ到着すると、隣にある食堂から大きな声が聞こえてきた。


「お前が男なんて知らなかった!俺は100年間、男を抱いていたのかぁあああ。うわああああ」


絶望に打ちひしがれた男の声だ。

 客間の空気が重くなる。村長の内の一人も男性から女性になっていた。村長になるべく、男性になることを祈っていたのだろうか。


「あーごほん。それでは、それでは村長会議を始める。第1村の村長代理は元村長のホームレス殿でいいかな?」


第3村長が気まずい空気を切り裂き、話を始める。どうやらヤドナシは村長になりたいと願い、ホームレスと入れ替わっていたようだ。


「木の国として、対処しなければならないことに優先順位をつける」


村長達が話し合い、対処することの優先順位が決まった。

1各国へ開国の宣言と、他国同様の協定を結ぶ

2国民を守るための関所の配置と武力増強

3国境を結ぶ道の整備

4原初樹木の国葬

5相談所開設


【1各国へ開国の宣言と、他国同様の協定を結ぶ】

 この事案に関しては、光の国が他の国とどのような協定を結んでいるか、各国の代表が集まって会議する国王会議にて、協定を結ぶのが良いのではないか?と提案した。また光の国のアンソワ家を通じて、臨時国王会議を開くよう要請してみると約束した。


【2国民を守るための関所の配置と武力増強】

 この事案に関しては、3の道の整備と平行し、木の国と他国の境界線に塀と関所をつくり、不法入国させないよう対策をすることになった。エルフだけでは足りない武力や建築の人材は他国のギルドで募集したらどうかと提案した。


【3国境を結ぶ道の整備】

 この事案に関しては、土属性の魔法を使える者と、風属性を使える者で道を平らにする作業を行うことになった。


【4原初樹木の国葬】

 この事案に関しては、各村にお触れを出し、1か月後に行うこととなった。


【5相談所開設】

 神樹がなくなったことで困ったことを聞き、なるべく力になる。主に話を聞くだけになるが、人の不満を吐き出す場所を作ることになった。


「フィーナ殿がアンソワ家と繋がりのある者で本当によかった」


村長達が口々に話す。


「そうですね。ただ貴族は他国の為に見返りなしでは動きません。何か木の国から提案できるお礼品はありませんか」


村長達がざわつく。


「木の国の特産であるシルクを独占販売はどうか?」

「第5村では、定期的に販売する約束をしている者たちがいるから、独占は無理だ」

「木の国特有の木の実や穀物を他国より安価で販売するのはどうだろうか?」

「食べたことがない植物を提案されても、納得しないのでは?」

「アンソワ家が関わる商人だけ、関所の関税をかけないとかはどうだろうか?」


色々な案が飛び交う。


「そうですね。今出た話の中でアンソワ家が最も喜ぶのは、最上級シルクの優先販売でしょうか。独占は難しくとも、一番最初にアンソワ家が品定めをして、買取り残った者を他の国へ売る。というのはいかがでしょう。アンソワ家には提示された商品をすべて買うのは禁止という約束にして、優先販売の権利でいかがでしょうか」


「これで各国と平等な協定が結べるなら良いと思うのお。他の皆はどうじゃ?」


「ではお礼品は最上級シルクの優先販売でアンソワ家へ提案致します」


実際に最上級シルクを欲しがっているのは私だ。話がうまくまとめられて良かった。


「アンソワ家の宛ての手紙を書いたら、私はその手紙を届けるため、光の国へ帰ろうと思います。それ以降の国王会議や協定の件については、私より適任な者を送るよう、アンソワ家に伝えますから、その者にご相談ください」


このように話を着地させ、翌日の朝に光の国へ帰ることとなった。


主人公所持金:15銀貨98銅貨

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