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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第3部:木の国)
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第41話 公爵令嬢は会議したい

 食堂に入り、栗や豆の腐を注文して食べる。食堂のお姉さんも銀貨を渡すよりアワーのほうが喜んでいた。お金とは物の価値を測る指標でそのものに価値はないのだと実感させられる。

 食後は、村長と一緒に原初樹木へ向かった。

 儀式を行い、注連縄の中に入る。儀式の水をアンディーンに触らせたが、ただの水だった。そうすると盃に水を入れた後、毒を混ぜているか、夜の間に毒を蒔いているか。犯人を捜すのは大変そうだ。村長と一緒に原初樹木の傍まで行く。

 原初樹木は遠くから見ると枯れる気配は無かったが、近くでみると、木の枝が落ち、葉っぱも茶色になっていた。地表に出ている根の一部は黒く変色していた。


「腐った木の根は切らなくていいんかのぉ。エルフの奴らはなぜ何もせんのだ」


光の精霊が怪訝そうに尋ねる。


「願いを叶える神樹を切るなんて恐れ多い……。そんなことが出来る者はこの村にはおりませんのじゃ。良くも悪くもこの数百年で神樹はたくさんの願いを叶えてくださった。もうお疲れなのかもしれません」


村長は感慨深げに答えた。


「神樹が助かるようにと誰もお祈りしないのですか?願いを叶えられるなら誰かが願えば・・・」


「神樹が願いを叶えるのは一生に一度のみ。村のほとんどの者が願いを既に叶えてもらっておるのじゃ。最後に神樹が叶えた願いはコディマの願いだった。

 コディマが12歳の頃だったかのぉ。こやつはよく両親と喧嘩してな、神樹の近くで泣きべそをかいていたんじゃ。木属性の適正が高かったコディマはドリアド様とよく話しかけておったわい。

 いつものように両親と喧嘩し、神樹で泣きべそをかいていたある日、『父ちゃん、母ちゃんなんて消えちゃえ』と言ってしまったのじゃ。一時的とはいえ、強く思ったことは叶えられしまう。コディマの両親は本当に姿を消してしまった。

 その日からじゃ。ドリアド様を仇だと毎日戦いを挑むようになったのじゃ。神樹へ不毛な願いをし、戦いを挑むコディマを村の者は煙たがっていてな、両親がいなくなったコディマを子どもも孫もいないわしが引き取って育てたのじゃ」


「そんなことがあったんですね。だから親の仇と……」


「そうじゃな。だが本当はコディマを気づいているおるのだ。自分が消してしまったと。まだ幼いあの子にはその事実を正面から受け止める力が無いのじゃ。ドリアド様、どうかあの子を悪く思わんでください」」


村長は幹に触れながら、樹幹を見上げる。その目には憂いが詰まっていた。


「神樹の願いを叶える力は、エルフや人々には過ぎた力かもしれんのお」


光の精霊が呟いた。


 村に戻ると、広場が賑わっていた。第5村のエルフ達が、他国から商品を仕入れ市場を開いているらしい。地面に布を敷いて、商品を並べて売っていた。エルフ達は並べられた商品を珍しそうに見つめ、品定めをしていた。


「いらっしゃい。嬢さんも何か買うかい?」


「あの~どうやって仕入れたんですか?」


「そりゃあ木の国の外に出て交換してもらったに決まってるじゃないか~」


国と国との繋がりは無いが、エルフ個人で国を出入りし物々交換をしても良いらしい。商売をしているエルフが顔を上げる。


「おや?お嬢ちゃん人間じゃないか!?どうやってこの国に入ったんだ?」


人間という声に、第1村のエルフ達もざわめき始める。結界が張られているこの国に人間が入っているとは、第1村の人達は露にも思わなかったようだ。


「木の精霊ドリアド様に呼ばれて来ました」


「そっか!まあいいや!そんなことより、この青のネックレスなんてどうかな!金髪金眼によく似合うよ~!」


提案された商品には透明度がそこそこ高いサファイアが使われていた。金貨1枚はする品物だ。粟で物々交換しているエルフとサファイアを交換してくれる人達がいるのだろうか。驚きである。


「これは何と交換して入手したんですか?」


「木の国一番の絹さ!最高級の絹だとだいたいなんでも交換してくれるのさ」


光の国でも絹の価値は高い。超極細糸で作られた物は大きさやデザインにもよるが金貨数十枚するものもある。この国の絹と交換しているなら納得だ。

 他には兎の干し肉、魚の開きなどが売られていた。木に囲まれた国だからか、魚の開きには行列が出来ていた。銅貨を払って、干し肉を購入しようとしたが、絹や高級品との物々交換じゃないとダメだと断られてしまった。

 第5村の人々が商品を片付け、広場が静まりかえった頃、食堂へ行き夜ご飯を食べた。

 食べ終わった後は、客間へ行き、精霊達と犯人をどう探すか会議した。


「ぱっぱかぱっぱっぱーん。第1回精霊会議~」


ドリアド、アンディーン、サラマンディアを呼び出す。


「アンディーン、昼間は女の一番大事なところをいっぱい撫でてくれてありがとおおおお」


呼び出した途端、ドリアドはアンディーンに飛びつき、アンディーンが干からび、ドリアドは艶々している。


「俺、ずっと紋の入り口ですたんばってた。火の国の最後で契約して、木の国からはレギュラーメンバーかと思ったら、木の国に入る時、泉で水浴びする時も全然呼んでもらえなかった。あれか?コディマとかいうショタが俺キャラでセリフで使い分けるのに俺が邪魔だから呼ばれなかったんか?」


一人は鬱々としている。


「今日の会議はここまでよのお~」


光の精霊は姿をくらませた。


 話にならないと判断し寝ることにした。夜の間はドリアドの周辺を見張るよう伝えてから、床についた。窓から見える空には暗雲が立ち込めており、月が少しだけ隠れていた。

主人公所持金:15銀貨98銅貨

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