第40話 公爵令嬢は清めたい
泉に到着するとエルフ達が水汲みをしていた。ここの泉は儀式や飲み水用に使っているかもしれない。エルフ達がいる中で水浴びをするのは気が引ける。
水汲みが終わりエルフ達が帰っていく。
一旦いなくなったが、誰が来てもおかしくないので、光の国へ移動することにした。
「アンディーン、ここの泉は光の国の泉と繋がっているのよね?そっちに行かせてもらえない?」
「承知。泉に住む水の精霊に伝えよう」
周りにエルフ達がいないのを確認して、泉に飛び込む。泉の奥が光り、水中が照らされる。水中にはコディマがいた。
泉から顔を上げる。コディマも出てきた。周りの景色が同じなので、光の国とは気づかないだろう。木の国の外に出たと知ったら暴れん坊になりそうだ。バレないようにしよう。
「コディマ君もここで水浴びしてたのかな?」
「俺は大人達がどっか行くまでやり過ごしてたんだ。今から帰る」
「ちょっちょっちょっと待ってええ!!」
コディマの腕をつかみ、呼び止める。
「お姉ちゃんと一緒に水浴びしない?髪とか洗ってあげようか。服とかもすぐに乾かせるよ(アンディーンが)」
「俺、ジジイから聞いたことある!他の国の偉い人達は、人に髪とか洗ってもらうって。偉い人は何もしなくても生きていけるって!」
「そうそう!貴族っていうんだよ。貴族ごっこしよっか」
「貴族ごっこ!いいぜ!」
「それいいわねぇ~!アンディーンちゃんに女の命をワサワサされたいぃ」
コディマをなんとか引き留めることが出来た。
「木よ、我が手足となり、力となれ。木肢|≪ウッドリムズ≫」
泉の底から手の形をした木が3つ出てきた。手のひらは泉につかり、5本指は泉から出ている。ドリアドが手のひらの上に乗り、親指を枕にして寝そべる。体は泉につかり、頭だけが泉から出ている状態になった。服を脱ぎ泉に入り、ドリアドの真似をしてコディマと一緒に寝そべる。
「『『アンディーン、頭洗うのお願い』』」
「洗濯の次は頭を洗えと!?誰がやるか!!」
「やってくれないなら、ご飯なーし。働かざる者食うべからず」
ご飯なしという言葉にアンディーンの体がぴくつく。
「分かった。今回だけだからな。2回目は無いからな」
アンディーンがゴディマの髪に水をかけ、髪をとかす。慣れていないと思っていたが、自分の髪も長いからか慣れた手付きでといていた。
次に私の髪を触り、洗い始める。上を向いて目を開けるとアンディーンと目が合ってしまい気恥ずかしくなるので、目を瞑った。アンディーンの手付きはとても丁寧で侍女達の洗い方とは全く違うものだった。頭を洗われてこんなに気持ちいいなんて思わなかった。体の浮遊感と頭の気持ちよさが相まって、爽やかな気持ちになる。
「アンディーンに女の命を丁寧に触ってもらえるなんてえええ」
ドリアドは鼻息を荒くして誰よりも喜んでいた。
水浴びが終わった後、木の国に移動し服を乾かして着替える。
「水よ、全てを奪いつくせ。|水強奪≪ウォーターディプライブ≫」
アンディーンがゴディマの服と一緒に水分を飛ばす。
「すげー!便利ー!!」
ゴディマは初めて見る魔法に目を輝かせていた。
帰り道、ご飯代を稼ぐべく粟を探し、寄り道しながら村へ戻った。
第一村に入ると、エルフ達が広場に集まっていた。村長が皆の前に立ち、視線を集めている。
「ドリアド様に危機が迫っておる!何かが起こる前に対処するべくフィーナ殿を遣わされた。フィーナ殿には特別、巫女となり注連縄の中に入れようと思うのじゃがどうだろうか」
エルフ達が口々に自分の意見を言う。
「そのフィーナが危機の原因ではないのか」
「危機とは、なんだ?」
「エルフではない者を注連縄の中に入れるのは反対だ」
「俺達はドリアド様の声が聞こえないから、本当にドリアド様が遣わした人だったらどうしよ」
色々な意見が飛び交う。
「我らにはもうドリアド様の姿が見えぬ。見えなくなったのが危機が迫っている前触れと考えることもできよう」
村長の言葉にエルフ達は固唾を飲む。
「言葉を聞くことが出来ない我らの代わりに、ドリアド様を守って貰うんじゃ。反対の者はおるか?」
誰も反対しなかった。どうやら入ってよいことになったようだ。
意見の決着がつくとエルフ達は解散し、村長が来た。
「フィーナさん、原初樹木へ案内しますぞ」
「丁度、身を清めてきたところです。昼食を終えた後、声をかけますね」
主人公所持金:15銀貨98銅貨




