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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第3部:木の国)
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第39話 公爵令嬢は二度寝したい

ー翌日。

 「怪しい者を見つけたぞ!」


アンディーンの声が聞こえて、目を覚ます。起き上がり確認すると、水檻の中にコディマがいた。


「俺が何をしたっていうんだ!今日は何もしていないのに!」


コディマが叫ぶ。


「こいつが小便をかけていたんだ!」


「コディマ。神樹にかけるのは、村の人達に怒られるよ」


さすがに神樹にかけるのはどうかと思い、コディマを諫める。


「そうよぉ!かけるなら大人になってからにしなさいって何度もいってるでしょお」


ドリアドはかけられてもいいようだ。


「いや、小便をかけられたのは私だ」


どうやらアンディーンに立ち小便をしたらしい。想像して少し笑ってしまった。下らないことで起こされたので、二度寝をするべく布団に戻る。


「フィーナ、ここから出してくれよ」


「アンディーンにごめんなさい言ったら出してくれるよ」


布団にくるまり、もう一度寝ようとする。


「すみませーん!!コディマ見かけませんでしたか」


お爺ちゃんではなく、村長が外で大きな声を出して探している。


「ジジイ。ちょっと家あけただけで大袈裟なんだよ」


たしかに35才であることを考えると過保護すぎる気がする。人でいうところの5歳だと考えると、私も庭へ隠れるだけで大事にされていたので、納得である。


「フィーナさん、コディマ知りませんか」


ドアから呼びかけていると思ったら、窓の柵に顔を押し付けていた。コディマを檻に入れていた事情を話して、村長に返す。


「またご迷惑をおかけしてしまいましたな。お詫びに朝ごはんは、うちで食べていってください」


木の国の通貨(粟)を持っていないので、村長の家で食べることにした。


 村長の家は2階建てで1階は食事用のスペースらしく大きめの机と長椅子が置いてあった。

 食事中にドリアドの依頼について詳しく話した。原初樹木が枯れそうなこと、原因が祈りの儀式に使われる水である可能性が高いことを伝えた。


「そんな神樹が枯れるなんて……」


「ジジババア死んじゃうの?」


村長は枯れることに動揺し、コディマは心配そうにドリアドを見た。


「死なないわよぉ。子どもは大人の心配なんてしなくていいの!早くご飯食べなさい」


「村長さん、原初樹木の注連縄の中に入り調査する許可をください」


「調査に協力しましょう。しかし村の者には枯れそうなことを黙っていて貰えませんか?神樹が枯れると知ったら動揺し、他の村から管理責任を問われ暴動が起きてしまうかもしれません」


「分かりました」 


「コディマも皆には黙っておくんじゃよ。注連縄の中に入る許可については、皆の者にも断りを入れる必要がある。ドリアドからの願いと言えばすんなり聞き入れてくれるじゃろう」


 食事を終えた後、村長はエルフ達を集め説明していた。注連縄の中に入る許可が出るまで、祈りの儀式を見ていた。


 木の聖盃にキレイな水を注ぐ。神樹へ一歩一歩近づきながら水をたらしていく。盃から水が無くなった時、盃の持ち手を両手で挟み、指を交互にクロスさせ願いごとを唱える。

 儀式を行う時の衣装は、エクソミスという一枚布を左肩で留め、右肩を出す装いをしていた。布には麻や絹が使われており、刺繍はドリアドと同じようにツルや葉の模様が入っていた。

 儀式の所作は一つ一つが丁寧で、原初樹木の景色と合わせると、幻想的なだけでなく、神秘的な雰囲気も作り出していた。


「アンディーン、儀式の水を触って毒かどうか判断すること出来ない?」


「触ってみないと分からないな」


 儀式が終わった白みがかった茶髪の女性エルフに声をかける。


「こんにちわ、あの私達も儀式を行いたいのですが、どうすればいいでしょうか」


白茶髪のエルフは私の服装をじっくり見る。


「儀式を行うには、まず自身の体と服も清潔でなければなりません。水浴びをして白い一枚布に着替え、あそこの行列に順番待ちをすれば、誰でも儀式を行えますよ」


「分かりました!ありがとうございます」


さてどうしたものか。儀式用に使えそうな白い布なんて勿論持っていない。大切そうな服を貸してとは言いにくい。


「ドリアドや。フィーナに白い服貸してやれんかのお」


光の精霊が心の声を読みとり、ドリアドに聞く。ドリアドは確かに儀式と似た服を着ている。


「そんなにじっと見つめられてもぉ、精霊の服は本人の一部なんだからこれは貸せないわよお」


「そうですよね。そう都合よくはいかないですよね」


少し残念だ。


「でもぉ、美青年を誘いこむ時はぁ、人に献上された服を着るから、それ貸してあげる!やっぱり脱がされるって大事だよね!」


木の精霊ドリアドは原初樹木の幹へ行き、木の葉をバサバサと何枚か落として、1着の白い服を持って戻ってきた。


「汚れてない服を探すのにちょっと時間がかかちゃった!」


風の精霊から赤い芝桜の刺繍が布の淵に施されているシルクを渡される。スベスベで気持ちいい。頬にスリスリとこすりつけ、肌ざわりを確認した。


「スベスベでしょ~。イケメンを食べるときは、やっぱりスベスベに限るよねー」


「食べたこと無いんで分からないんですけど、木の国の絹は本当に一級品だと思います」


「え?あなたその胸とその容姿で生娘なのぉ!?恋人は?恋人は出来たことあるよねえ?」


「およそ2週間くらい前までは、婚約者がいました…」


「婚約者に食べ頃である17歳前後を放置されたってこと!?その男子、信じられない。熟女好きだったのかしらぁ」


 学生の頃を思い出して、胸が少し締め付けられる。王子は私を大切にしているから手を出さないと思っていた。実際は興味がなくなったから手を出さなかったのだ。薄々気づいていたが心の声に蓋をして学生時代を送っていた。そんな自分が情けない。

 水浴びをして儀式用の衣装に着替えるため、ドリアドと話しながら泉へ向かった。


主人公所持金:15銀貨98銅貨

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