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公爵令嬢は転生したい  作者: 中兎 伊都紗
第一章 公爵令嬢は転生したい(第2部:火の国)
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●第35話 公爵令嬢はデコピンしたい

後書きにおおよその地図を書きました。


ー翌日。

 気が付くと木にもたれて座って寝ていた。太陽は真上にいるらしく、かなり陽気な温度だ。ウグイスの鳴き声が聞こえてくる。いやウグイスだけじゃない。木の葉がそよぐ音、動物が草木をかきわける音、水をかきわける音、自然の全ての音が調和し、心地よい空間を演出していた。うっすら目を開けると、そよ風は木の葉と遊び、動物は草花とじゃれあい、アンディーンが泉でクロールをしていた。


「おお、起きたか!この展開はもう3度目だな」


立ち上がり髪をかきあげる。水しぶきが飛び、そのしぶきが日光に照らされ、美しい光景だったが反射的にしぶきをよける。


「なんだ!人のしぶきを汚いもののように」


「あ、いやー。なんかつい。ていうかここどこ?」


「おぬしは昨日な~、炎竜を見送った後、立ったまま白目を向いて気絶していたんじゃあ。あははははは。涎もたらしておったぞお。あははははははは」


光の精霊が思い出し笑いをする。光のタマにデコピンをしてみたが、実態がないので触れない。


「誰がタマじゃ」


「私がそなたをここまで運んだんだぞ」


「ありがと」


立ったまま放置されるのは確かに嫌だが、外で寝かせられても元貴族としてはあまり嬉しくない。少なくともベッドが良い。

 木にもたれまま背伸びをする。目の前の泉はとてもキレイだ。そういえば3日も湯浴みをしていない。周りに人はいないことを確認し、服を脱いで泉に入る。服も泉の中に入れて、水を回転させ汚れを落とした。アンディーンも泉へ飛び込み、泳いでいる。精霊とはいえ、一緒に入浴するのは人型だとなんだか恥ずかしい。しかし本人が全く気にしてないので気にしないことにした。


「人間は、頭から水を浴びるんだろ?ほらなんといったか?」


「シャワーじゃの」


「そう!シャワー!フィーナ、シャワーのように頭から水を出し続けてやろー!」


アンディーンの提案はとてもありがたかった。


「お願い!頭、洗いたい!」


「水よ、いでよ、水球ウォーターボール


頭の上から滝のような水が流れてきた。


「木よ、いでよ、木球ウッドボール


水の弱点である、木属性の初級魔法を放つ。アンディーンは体の一部を水に戻し避ける。木球が泉の近くにいた魔兎に当たって魔兎がふっとぶ。


「ちょっ何を怒ってるんだ?」


「そんな滝みたいな重い水球くらったら普通の人は潰れて死ぬから!!!!優しい雨のような水球にしてよ!!!」


「水よ、大地を潤す力となれ、水雨ウォーターレイン


泉の上だけ、雨が降る。まるで狐の嫁入りみたいだ。晴れた日に雨に濡れると不思議な気持ちになる。


「ちなみに、水を温かく出来たりする?」


「私は水の精霊だ。他の属性が必要な魔法は使えん」


「やっぱりそうだよねー」


「サラマンディア呼んだら温かい雨できるかなー」


火の精霊を呼んだ訳ではなかったが、名前に反応して紋が光り、サラマンディアが現れる。その姿は手のひらサイズのままだった。


「初めて現れたアンディーンみたいに小さい」


「あの時は、少ない水量で呼ばれたからだ!普通、契約するときは水がたくさんあるところじゃないと呼び出さないんだ!!それに洗濯したいなどと……」


「どうしてそんなに小さいの?」


アンディーンの小言を無視して、サラマンディアに質問する。


「命を吹き込んだ代償だ。元の姿に戻るには、人々の祈りや願いが必要になる。暫くたてば戻るだろう。

少しでいい!!!みんな!!俺に元気をわけてくれ!!!頼む!!」


両手を上にあげ、いきなり叫ぶ。小さくなったサラマンディアの声は、5歳児くらいの子どものような声だった。精神年齢も5歳児になったようだ。炎竜を助けた時はクールな雰囲気に見えたのは気のせいか。


「少しでいい!!みんな!!私に耳をかたむけてくれ!!!頼む!!!」


アンディーンが両腕を耳の後ろにつけ白目を向き、変顔をしていた。


「フィーナの真似」


アンディーンの変顔はどうやら私の真似だったらしい。


「似てるwwww」


火の精霊が笑い転げる。


「おぬし達は、いつまでたってもさわがしいのお。ほんと仲が良いな」


「『仲良くないわ!』」


サラマンディアとアンディーンが光の精霊の言葉を同時に否定し、私の頭上にいた光の精霊に向かって同時にファイアボールとウォーターボールをぶつけた。水蒸気爆発が起き、熱い水滴が頭上から降りかかる。当初の目的であるシャワー達成だ!と言ってる場合じゃない。


「熱い!!!」


あわてて水中に潜り、ザーという水の音がしなくなってから水面に顔を出す。すまなかったと謝罪されるかと思ったら、アンディーンもサラマンディアもいなかった。少し不安になり、光の精霊を呼ぶ。


「タマー!タマー!」


「誰がタマじゃ!!!!」


光の精霊がいたので安心する。


「アンディーンとサラマンディアは?」


「元いた泉に取り残されておるのお。紋に戻して呼び出せば、出てくるぞ」


「元いた泉ってここは別のところってこと?」


「ああ。おそらくのお」


見た目は先ほどの木に囲まれた綺麗な泉だ。別のところに来たとは思えなかった。とりあえず泉から陸へあがり、服を着る。アンディーンとサラマンディアを呼び出し、ひとこと言おうとすると、アンディーンに誰かが飛びついた。


「アンディーン、会いたかったよー!」

主人公所持金:15銀貨98銅貨

※現実の尺図とは大きく異なります

挿絵(By みてみん)


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