第32話 公爵令嬢は出発したい
ー翌日。
薄暗い時間に目が覚める。まだ太陽が昇っていない暁の空だった。外から鎧が擦れるような音が聞こえ窓の外に目を向けると、剣や盾を持った人ぞろぞろがいた。村長が武装した人々と話している。何かあったのだろうか。窓を少し開けて聞き耳を立てる。
「火山噴火を止めるために、光の国が炎竜討伐を決めたんだ。討伐を阻止するべく……」
「光の国のやつら、水竜を討伐したからって調子に乗ってるんだ!」
「そこで、ここを拠点とし……」
「死人が出れば光の国と火の国の戦争になるんだぞ!!!」
「だからといって、俺達の神様を見捨てることは出来ない!」
「それを避けるためにも、噴火の原因を……」
全ての会話を聞き取ることは出来なかったが、どうやら光の国と火の国で戦いが起きているようだ。村長は戦争に発展しないよう、討伐隊と戦うことに反対している。
元凶である炎竜失踪事件に大きく関わっているため、冷や汗がとまらない。今からリオスを叩き起こしてマウナロア火山の住処へ向かった方が良さそうだ。早朝から出かけて不審がられるかもしれないが、背に腹は変えられない。
「リオス!リオス!起きて」
リオスの体を揺らし、外には聞こえないよう小声で起こす。
リオスは寝息をたて目を覚まさない。
起こさずにリオスごと鞄を背負って向かうことにした。途中で起きた時に住処について聞くことにした。部屋を出ると、外から1階へ戻ってきた村長の声が聞こえたので足を止める。出掛ける理由をきかれたら、どう説明すればいいか分からない。
1階の様子を見ようと階段をのぞきこむと、村長と目が合ってしまった。最悪である。
「フィーナ様、お目覚めでしたか」
「外が少し騒がしかったので、何かあったのかと気になりまして……」
嘘はついていない。
「申し訳ない。実は炎竜討伐をしようとしている人と、火の国の民が戦っておりまして、フィーナ様の噂を聞いた剣使いや盾使いが傷を治してほしいと依頼してきました。どうか光魔法で治癒していただけませんか」
普段の私であれば二つ返事をしていたが、今は火急の用がある。断らなければ……。
「すみません。今から行くところがありまして……」
「どちらに行かれるのですか?」
「あー、その、、えーと」
言い訳が思いつかない。
(テレフォンバードで噴火の原因をつきとめるよう依頼が入ったと言えばいいんじゃないかの)
「テレフォンバードで噴火の原因をつきとめる依頼が入りました。至急マウナロア火山へ向かいます」
「そうでしたか。噴火中の火山はとても危険です。火山までの道に詳しい者を紹介しましょう」
「い、いえ!大丈夫です」
「途中マグマで道がなくなっていたり、迂回をしなければならないところなどが沢山ありますが本当に大丈夫ですか」
風魔法で浮けば問題ないので、断ってすぐ村を出た。
主人公所持金:15銀貨98銅貨




