第31話 公爵令嬢は聞きたい
昼食を食べた後、報酬の銀貨8枚を受け取り、復興の手伝いをした。火山近くは危ないのに、なぜ離れないのか。概ね炎竜を祭っていることと関係があるのだろう。手伝い中に、火山が大きな音をたてて灰の雨を降らせる。建物の中へ避難し、作業を中断した。その日はずっと灰が降り続いたので復興作業を再開することはなかった。
晩御飯を食べた後、村長が子ども達へ寝物語として炎竜にまつわる昔話をしていた。
「昔々、あるところに、3匹の炎竜がいました。炎竜達はマウナロア火山で家族仲良く暮らしていました。
ある雪の日のこと、お父さん炎竜は人里へ降り、食べ物を分けてほしいとお願いしました。
『いいですよ』
炎竜のお願いを人々は快く承諾しました。
その対応がとても嬉しかった炎竜は晴れた日に人の姿へ変身し家族3人でお礼をしにいきました。
『寒い日にご飯をわけてくれてありがとう。お礼に薬草をどうぞ』
その薬草は天火鳥草(通称:|鳥草≪うやく≫)とよばれる大変貴重な若返りの薬でした。
人々は大変喜び、鳥草を火の国の王様へ献上しました。王様は褒美をとらせました。
それを見ていた欲深い王女様はどのように鳥草をどこで手に入れたのか調べるように命じました。
家来達は、マウナロア火山近くに住む人々に聞いて回り、炎竜から貰ったとつきとめ、それを王女様へ報告しました。
その話を聞いた王女様は、子ども炎竜を誘拐して、探しに来たお父さん炎竜に炎竜を返して恩を売り、鳥草を手に入れようと計画をたてました。
早速、王女の家来達は村へ遊びに来ていた子ども炎竜をさらって冷たい檻の中へ閉じ込めました。
『寒い。寒い。ここから出して』
檻に閉じ込められた炎竜は寒さに震えながら家来達にお願いしましたが、聞いてもらえませんでした。
夜になっても帰ってこない子ども炎竜をお父さん炎竜とお母さん炎竜が探しにきました。
『どこにいるか知りませんか。どこにいるか知りませんか』
『昼間まで子どもと一緒に遊んでいたんだけどねえ。ごめんよ』
村の大人達は誰も子ども炎竜がどこにいったか知りませんでした。
『僕、炎竜の場所知ってるよ』
一人の子どもが言いました。
『鎧を着た大人達に連れて行かれたんだ。僕見てたけど、怖くて助けられなかった。ごめんなさい』
それを知ったお父さん炎竜とお母さん炎竜はとっても怒り、マウナロア火山が噴火させ、火の国を黒い雨で覆いました。
噴火が炎竜の祟りと知った王女様は怖くなりました。家来達に子ども炎竜を返すよう命令し、家来はすぐ返しに行きました。
マウナロア火山へ帰ってきた炎竜は冷たい体となりとても衰弱していました。熱いところでないと生きていけない炎竜にとって冬の冷たさは命とりだったのです。
お父さん炎竜とお母さん炎竜は必死に炎竜を温めましたが、熱は戻ることがなくそのまま息を引き取りました。怒り狂った炎竜達は火の国に3日3晩の火の雨を降らせました。
火の雨がやんだ後、子ども炎竜のお墓の上には天火鳥草が咲いていました。
お父さん炎竜とお母さん炎竜は寒く無いよう、その周りに火薬草を沢山植えて大事に大事に弔いました。そして炎竜達は二度と人前に姿を現すことはありませんでした。」
村長の話につい聞き入ってしまった。火の国と炎竜にそんな関係があったとは。悲しい物語だったが、子ども達の大きな寝息に沈んだ気持ちがかき消された。
寝泊りする部屋へ戻るとリオスも大きな寝息をたてて鞄の中で寝ていた。可愛い寝姿に癒されベッドに座る。
「今日は帰る」
アンディーンは紋を通じて、自分の住む世界へ戻っていた。昨日からずっと呼び出していたので疲れたのだろう。
ベッドに入り、村長の話を思い出す。子ども炎竜がいなくなったら、お父さんとお母さんは気が気ではないだろうと。怒って火山を噴火させるのも当然だ。ん……?火山が噴火?
ベッドから起き上がり窓の外を見る。もしかして、これはお父さん炎竜が怒っているのではないだろうか。炎竜の子どもはすぐ目の前にいる。嫌な汗が背中をつたい背筋が凍る。これは私のせいなのだろうか。神をさらった誘拐犯と思われないように、炎竜であることを隠してきたが逆にまずかったようだ。
明日、朝一にリオスとマウナロア火山へ行き、お父さん炎竜に謝罪しよう。
床についたものの交感神経系が働きなかなか寝付けなかったが、いつの間にか浅い眠りについていた。
主人公所持金:15銀貨98銅貨(+個別依頼の報酬8銀貨)
作者としてはこの15銀貨で、自室の家具とかをもっと買って部屋の飾り付けしたい。あと平民の服2着しかないから新しい服も欲しい。
と思っていますが、ストーリーに関係ない話なので、番外編とかそういうところで買おうかなと。




