第12話 公爵令嬢は妄想したい(2)
カクヨムにもあるです
目が覚めたら井戸の近くで水をかけられていた。
こんな風に目を覚ます公爵令嬢など世界広しといえど私くらいだろう。
「フィーナ。起きて!宿へ行くよ」
食堂も閉店し、あたりは真っ暗だった。今日は湯浴みをしようと思っていたのに、もう桶屋も閉まっている。
「フィーナは本当に貴族だったんだな。まさかアンソワ家の令嬢とは思わなかったよ」
公爵令嬢とバレて一気に酔いが醒める。
「な、なんのことか分かりませんわ」
「光の精霊と契約してるのはアンソワ家なんだろ」
「劇の途中で見せた光は手品の一種で、火の魔法の一種ですわ」
「そこにいる自称、光の精霊が教えてくれたのは嘘なのか?」
「自称ではない。わしは長きに渡りアンソワ家と契約してきた光の精霊ぞ」
「なっ!あなた周りに見えるようにしたんですの!?」
「わしほどの高貴な精霊だと人に見せる・見せないの調整もできるのだ」
「何してるんですのおおお。公女と分かったら色々気を使われて大した理由もないのに誘拐や強盗に巻き込まれてしまうでしょうがあああ」
「大丈夫だ。誰にも言わないさ。約束しよう。それに私は探し物をしていて、この町に寄っただけだ。長居するつもりは無いから安心してほしい」
「桜師匠、ありがとうございます。どんな物を探しているんですの。本当にお世話になっているので、この町にいる間は一緒に探させてください」
「刀匠・宗近の最高傑作とされる月シリーズの刀を集めている。宗近の名を聞いたことはあるかな」
「いいえ、存じません。世間に疎くて」
「いや水の国で有名というだけさ。光の国では別の鍛冶師が有名だから知らなくても当然だ」
「わしは知っておるぞ。たしか三日月宗近、月山、日月護身之剣、七月剣、五月雨江、月一文字が最高傑作と言われる刀シリーズだったかの」
「精霊様、さすがです。その通りです」
光の球なので表情は見えないが、得意顔をしているに違いない。知ってて当然だという空気をまとっている。
「桜さんがこの町に滞在している間は、私も一緒に探します!」
「あぁ、よろしく頼む。ただ既に町の刀鍛冶屋の聞き込みをしたのだが、目新しい情報は無かったんだ。何か情報が見つかったら連絡してほしい」
「そうなんですね。鍛冶屋で情報がなかったらこの町には無いかもしれませんね」
話しながら歩いているとすぐ宿屋についた。桜師匠は別の宿に泊まっているため、午後、冒険者ギルドへ集合する約束をして宿屋の前で別れた。30銅貨の宿代を払って部屋へ向かう。今日は水浴びを絶対にしよう。服も洗いたい。
水浴び場を借りて、水浴びの魔道具シャワーに魔力を込め水を浴びる。そうすると上から水が降ってくるのだ。水属性の無い者でも使うことができるのが、魔道具のすごいところである。
主人公の所持金:19銅貨




