第9話 公爵令嬢は知りたい(2)
カクヨムにもあります
近くの木と適当な石を集め、ファイアボールを打ち込む。
「フィーナは土と火の魔法が使えるんだね」
「はい。他にも風と水と木も使えます」
「全属性じゃないか。お貴族様でもほとんどいないよ」
「えへへ。いやーそれほどでも」
実際に魔法学校で全属性だったのは私と王子だけだった。魔法に関しては自信があるので少し得意げになる。
「中級魔法は使える?」
「ええ。使えますわ」
「それならアースウォール使えば魔兎なんて簡単に狩れたんじゃない?」
「中級魔法以上は、魔法陣が高いので使わなかったんです」
「狩りの知識は全くなくて、魔法も魔法陣を使うって……。ほんとにどこのご令嬢」
「えっえっとあーそれは……」
地方貴族の子爵や男爵なら話しても大丈夫だろうが、公爵令嬢とはさすがに言えずどもってしまう。とくに爵位や家名を気にしていないのか、違う質問をされた。
「そういえば魔法陣は書ける?」
「はい」
「なら魔法陣を買わなくても土に魔法陣をかけば、魔法を発動させられるよ」
「ええ!そうなんですか。学校では習わなかった……」
「お貴族様は魔法陣を買ったほうが早いのと、魔法陣は消されると発動しないから書くことは基本的にあまりないからね。ただ魔兎のように自分からは攻撃してこない魔物に関しては有効だよ」
「勉強になりますわ」
「土壁も横一列に発動させてるでしょ?」
「ええ」
「土壁や火壁を兎が飛べない高さで四角に囲んだ後に、土球を打ち込めば簡単に捕まえられるよ」
「魔法を使う練習やテストはしたのですが、魔物と戦う練習をしたことが無かったので知りませんでした。もしよろしければ私の師匠になってくれませんか」
「私は初級の魔法しか使えないんだ。それで魔法使いの師匠はちょっと……」
苦い表情で答える桜師匠の腰には剣がある。見た目通り剣使いなのだろう。
剣使いに魔法での戦い方を教わるのはたしかに理に適っていない。だが解体・採取・討伐の基本的なことはどの職業も共通だと思い、冒険者として教えを乞うことにした。
「冒険者の師匠になってください。戦い方や採取のやり方などの基本的なことを教えてほしいです」
頭を下げ、切実にお願いした。
「困ったな。頼まれると弱いんだよ……」
「ありがとうございます」
「まだ教えるとは言ってないんだが……。フィーナがEランクの魔物と戦かって、解体できるようになるまでで良ければ引き受けよう」
「ありがとうございます」
「とりあえず、私はお肉を食べてるから、ここから見える魔兎3匹を囲って倒してごらん」
「はい」
魔法陣を土に書き、土壁を唱えて魔兎を囲い込む。土球を打って魔兎を3匹とも倒した。気絶させた兎を渡し、解体方法を教わる。桜師匠の短剣を借りて、皮・肉・目と分け教わったことを実践した。
「町に戻ったら解体用の短剣を購入しておくんだよ」
「わかりました」
「もう日も沈む。そろそろ街へ戻ろうか」
「はい!桜師匠」
(返事は無駄に良いんじゃから)
変な声が聞こえたが無視をして師匠と街へ戻り、魔兎の素材を換金した。師匠に手伝ってもらったので素材を渡そうとしたら、ランク外の素材は安いから要らないと断られた。
「換金ですね。
魔兎の皮……8銅貨 × 4 = 32
魔兎の目……10銅貨 × 4 =40
魔兎の肉……2銅貨 × 2 =4
合計76銅貨です」
肉体労働をしてお金を稼ぐのは初めてだからか、76銅貨という微々たるお金をすごく嬉しく感じた。
食事処で魚料理を注文し、7銅貨を支払う。師匠と食卓を囲みながら明日の話をする。
「明日は狩りたい魔物はいる?まだFランクだから高ランクの依頼は無いかもしれんが」
「Eランクに上がれるように実績を積みたいです」
「そうだな。まずはEランクを目指そう。魔兎の依頼を達成したから、あとは薬草と魔木の採取をすればEランクになれる。明日は薬草と魔木の依頼を両方達成しよう」
「はい!桜師匠」
「明日のために今日はゆっくり休むんだよ」
今日は初めての経験をたくさんしたからか、体がへとへとに疲れていた。
ベッドに入ると気絶するようにすぐ眠ってしまった。
主人公所持金:39銅貨
76ー7(ご飯)ー30(宿代)=39




