ループ人生(1度目)
そんな訳で今二週目の人生。
今度は最初から記憶を持っていた。
なんと生まれた時から。
これもまた、詰め込み過ぎた設定の一つだ。
おかげでろくに動けない赤ん坊の頃から、色々と考えなきゃならない羽目になった。
つまり、二週目でいかにしてループ断罪から逃れるか。
もちろんループする人生も設定済みだ(笑)
けど、そう何度も死んでられないしね。
幸いにして死んだ時の苦痛はほぼないけど。
にしたって落ちてくるギロチンの刃を見るのは、心臓がキュッとなるくらい恐ろしかったし。
普通、ギロチンにかける時って、罪人は下を向かされるんじゃなかったかな~??って思ったけど、どうやらこの国では逆で、死の瞬間まで恐怖を味あわせる仕様となっていた。
もちろん、こんな細かいとこまで設定した覚えはない。
だからこれは基本設定から自動生成されたものだろう。
ほんと胸糞悪い国だ。
自分で設定作っといてなんなんだけど。
王家もクソだったが、国民も国民で、処刑をショーみたいに喜んでいた。
処刑場はお祭りみたいな陽気な雰囲気だったんだよね。そんな様子を見てわくしは、ムカつくより心底冷えたわ。サイコパスの集団かよってね。
ああ…こんな国さっさと捨てて、ザマアな展開に陥らせてやりたい。
まあ、一回目の転生も、わたくし亡きあとは酷い目に合ってるとは思うけども。
なにしろ私は本物の聖女。偽物の聖女こと妹には、私の死後、聖女の役割などこなせなかっただろうから。
そう言えば説明し損ねていたが、この国……というか、この世界では、聖女の浄化の力なくしては、まともに穀物すら育たない事態となっているのだ。
聖女は神々の代理人。
その慈愛の力を持って、人々に救いをもたらせる。
しかし聖女は国に一人しか存在できなかった。
何故って、創造神たるわたくしがそう決めたからだ。
そんな設定に特別な意味は何もない。
その方が面白くね??と思っただけだ。
前回は聖女の私が処刑されたから、次の聖女が生まれるはずだけど、それまでに何年かかったことやら…??生まれてすぐ聖女の力が使える訳じゃないし、それを考えるとたぶん10年以上はかかっただろうね。
次の聖女が育つまでの間、国はたいそうな困難に見舞われたことだろう。
穀物は育たないし、魔物には襲われる。
下手すれば国が亡ぶレベルの災厄じゃないかしら??
ザマアwwww
いい気味ですわwwww
……って、おっといけない。
断罪中なのに笑っちゃうところでした。
そんなこんなで色々と詰め込み過ぎた世界に転生しちゃったわたくしは、子供の頃からこの日に向けて様々な準備をしてきたのだ。
とりあえずは目の前で楽しそうに人の罪をでっち上げてるこのバカを、完膚なきまで叩きのめしてやるために。




