閑話 ここ2日の余談 後編
次の日、昼ご飯の後。おにいがまた1人で出かけようとするのがわかってたから、着いて行けるようにして待つ。おにいは今まで自分から出かけようとしなかったからなのかな?1人で出かけても大丈夫だと思ってるみたい。私が気をつけないと。
それよりおにいが買いに行きたい物ってなんなのかな?今まで毎年の誕生日に欲しいものが何か聞いても、困った様に笑って特に無いって言ってばかりだからおにいが喜んでくれる物を必死に探してプレゼントしてたのに。だからおにいが欲しい物があるなら私も知りたい。
そうこう考えてる内におにいが来た。私が待っているのを見て苦笑いしてる。でもここは譲れない。
「私もついてく。」
「そんな出待ちしてなくても別に言ってくれれば行く時に呼んだのに。」
「じゃあ出かける時はいつも言って。」
「いやぁ…それはほら、舞奈にも予定があるだろ?買い物くらい1人で行けるって。」
「お兄が出かけるのについてくのが1番大事だからいい。1人で出かけるのは危ないからダメ。」
「あーうん…それはほら、とりあえず今日は行くぞー。」
「むぅ。」
誤魔化された。1人で行くのは本当に危ないのに。でもあまり強く言うとおにいが嫌になって居なくなる気がして何も言えなかった。
道中、おにいの事を道行く人が見てくる。あの子達なんか、私が居なければ絶対話しかけてきてる。今日が平日だから良いけど休みだったら、都外の人がもっと増えて何があってもおかしくない。
着いたのは家電量販店。おにいは何を買いたいんだろう?
バイト店員視点―――――――――――――――――
あー…しんっ…ど。大手メーカー直属の家電量販店とはいえバイトは接客ばっかだし、折角のPC知識もとにかく聞かれたらこんなちょっとネットサーフィンするには無駄に高くて機能がついてて、逆に何かやろうと目的があると何をするにも性能が足らない様な酷いPCをおすすめしろって…
始めたばっかだけど辞めようかな。正直大変で割に合わないし、そりゃまあ都内だしすこしは期待したけど男はこんな家電量販店に来ないし…ってあれ?そこでPC見てるの男!?しかも若い!なんでこんな所に男の子が来てるの!?
…あ。
ここで私は気づいた。側に居た女の子がこっちを見てる。心なしか睨まれてる気がする。はいすみません直ぐ消えますんでどうか通報だけは勘弁してください…ってあれ?こっちに手招きしてる、口パクでこっちに来いって言ってる?いや勘弁してください本当にもう居なくなるんでって男の子が見てるあれ、おすすめしろって言われたあのPC…ネットでの評判知ってる人なら絶対買わないのに。
よし任せて、私がその男の子に最適なPCを用意して見せる!上の都合なんて知ったもんか!
「ちょっと待ってくださいお客様!」
「…え?」
上鍵舞奈視点――――――――――――――――――
おにいが評判すごく良くないPCを買おうとしてたからなんとか店員に呼び止めさせたけど、おにいが欲しい物がPCだとは思ってなかったから私もあんまり詳しく調べてなかった。
おにいが何かをしたい時に性能不足で諦めて欲しくない。だから私はおにいを遮ってでもこう言った。
「1番良いので。」