第50話 欲しかったもの
「あ、ああ…そうだな。」
椅子に座り直して阿黒さんらが話し始めるのを待つ。流石にもうどうしようもないな、気分はまな板の上の鯉だ。もうひと想いにやってくれ。
「…なんか勘違いしてない?」
そんな事を思ってたら阿黒さんがそんな事を言ってくる。そんな事ないと思うんだけど、俺の態度が悪かったかな?
「そんな事ないと思ってるんだけど、何か不快だったなら謝るよ。」
「…うん、やっぱ勘違いしてるね。」
「えっと…すみませんでした?」
「いやそういうんじゃ無いんだけど。」
「ああそっか、謝るだけなんか意味ないよね。」
「ちっがーう!…とりあえず今から黙って聞いてて。」
なんか間違ってたらしい。大人しく黙って聞くことに…いや最初からそのつもりだったんだけど。
「あの時さ、何であそこで終わりにしたの?」
あの時がどの時か分からない…よく分からないけどとりあえず俺がなんか間違ったっぽいから謝る他ないか。
「…ごめん。」
「違うんだって〜そうじゃないんだってば。」
「えっとその阿黒さん…何についてか話さないと分からないと思います。」
「えっ?あっ…」
山名さんの助け舟のお陰で何についての話か聞けそうで助かった。
「…2週間前にさ、やったじゃん?あれ。」
「試作ゲームのテストの事?」
「そう!その時さ、何であそこで終わりにしちゃったん?まだ時間あったのに。」
「いや…みんなの空気感で大体察したからさ、さっさと切り上げた方が良いと思って。それに…」
「それに?」
「阿黒さんにはあの最後の対戦で水を差しちゃったなって。本当にごめんね。」
「…そっか、そう思ってたんだ。やっぱり勘違いしてるよ城加君。」
「えっ、だって結構突き放した言い方だったから絶対白けちゃったんだと思ったんだけど。」
「えっ?あっやっぱり私なんか言っちゃってたかな?あの時負けたのが結構ショックだったから酷い事いっちゃってたかな?」
「いやそんな事ないよ!…ただ経験則的にもうダメだろうってこっちが勝手に諦めちゃっただけで。」
「そっか…でさ、山名さんと一緒になんかやってたらしいじゃん?それ。私も混ぜてよ。」
「いや、山名さんには無理にさせてただけだから…そういうのはもう終わりにしたんだ。」
「だから…私は無理になんて…」
「そう言ってくれるのはありがたいけど、やっぱり手伝って貰うのはちゃんと楽しんでくれる人であるべきだと思ってね。」
「うん?なら別に楽しんでたら問題ないって事?」
「いやまあ、そうだけども。」
そりゃそうだけど…って阿黒さんは楽しんでくれてたんだっけか。なら確かに…
「…私、そんなにダメな顔してましたか?」
「いやだって、ずっと緊張してる感じでとても楽しくなんて感じじゃなかったよね?」
「うぅ…私そんな酷かったですか…楽しくない訳なかったのに…」
「ははは!つまり山名さんも楽しんでたってわけじゃん?ならなんも問題なくない?」
そうだったのか…なら何も問題なかったのかもしれない。何を勘違いしてたんだ、全部俺の早とちりじゃないか…
「なんかもう、色々ごめんね2人とも。そしたら放課後、一緒にやろうか。」
「良いよ私もなんか悪かったし。分かった放課後ね。」
「はい!私も行きます!」
こうして遂にちゃんと俺は、ちゃんとTCGができる仲間が出来たのだった。
「…ん?そしたら昼休み何してんの?」
そういやもう別に言っても大丈夫そうだな。
「ああ…えっとね…」
キーンコーンカーンコーン…
あっ、予鈴が…って違うこれ本鈴だ!
「やばい、遅刻になる!」
「えっ!?あっ!本鈴じゃんこれ!」
「えっ!」
話半ばに3人で急いで教室に向かうのであった。
これで1章終了…って思ってたんですけど、あんまり所感良い感じじゃ無さそうなのでここで締めるかもしれません。1人でも要望があれば是非書きたいんですが。
何はともあれ、ここまで見てくださった方々。本当にありがとうございました。




