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第41話 思いの丈
いやそんな訳ないだろう…最初あんな気迫で断られるのを回避するほどだったのに。そう思いながらも、二の句を継げられないで固まった俺に、山名さんは続ける。
「最初は…機嫌を損ねちゃいけないって…そう思って、なんとか出来る事探さなきゃって…」
「やっぱりそうだろう?だったら…」
「でも今は!…今はもっと力になりたいって、そう思うんです…」
力になりたい…か、やっぱり楽しめてる訳では無かった訳だ。それならやっぱり…
「だとしたら、君は十分力になってくれたさ、もう十分だよ。もう…」
「私なんかじゃ…役に立たないですか?」
ここ最近だと1番楽しかったし、役に立たない訳じゃない…でも協力してくれる仲間にするのは、一緒に楽しめる人じゃなきゃ…
「ごめんね、そういうんじゃないんだ…君が悪いんじゃ無くて、俺の問題だから。」
そう言って俯く山名さんを置いて先に去る事にする。
「…なんで?そんな…」
山名さんの呟きは聞かなかった事にしたのだった。




