第35話 権力
見てくださってるのにこんなに不安定な投稿で本当に申し訳ないです。今日中に他に2話更新します。
「山名さんを解放してもらおうか。」
「本当にそういうつもりできたんだあ。何も言わずに引き返すなら見逃してあげたのになあ。」
そう笑う顔からはとてもじゃないが、元よりそのつもりはなさそうだった。無論、ここで引き返すようなつもりは毛頭ないので関係ない。…少し、時間を稼げれば十分だ。
「なら、なんでこんな事をしているのか聞こうか。」
「そいつが悪いのよ。私に対して歯向かうから…もちろん貴方もね。…大丈夫、貴方に暴力を振るうつもりはないから、男として役に立てばいいもの。」
「従うと思うのか?」
「従うしかないもの、学校が貴方に味方すると思っている?あなたは武曽を敵にしたの、貴方を助けてくれる奴なんて誰も居ないのよ。」
武曽、国家が氏族、家系に対抗した東京の中で唯一幅を利かせる家系。東京の商業施設のほとんど全てに手を引いているらしい。あくまで噂でしか聞いた事は無いが。
とはいえ、氏族などの中ではそこそこ止まりだ。より大きな氏族なら多少東京で動いても揉み消せる。
「貴方が私に付くって言うならもっといい待遇をあげるわよ。まあどの道、貴方に選択肢は無いでしょうけど。」
「それはどうかな。」
教室の中に十数人の黒い装備を身に纏った集団が入ってきて集団とその武曽の女を取り囲んだ。
「なっ何よこいつら!?私は武曽よ!手を出してきたらどうなるかわかってんの!」
そう叫ぶ女を手早く拘束する。集団もその現状を理解した人が一目散に逃げようとして捕まっていた。他は呆然と固まったままだ。
…母さんを殺したであろう奴らを頼ってしまった俺は、今更ながら己の無力さに打ちひしがれそうになるがそれどころではない。山名さんの方に駆け寄った。
「城加さん…?」
「ああ、もう大丈夫だよ。」
山名さんを支えながら立ち上がる。そうしてる間に装備をした中から1人が近づいて来ていた。
「この子はいい、この後は任せる。他に何かあるか?」
「…いえ、かしこまりました。」
これ以上、ここに居たくもない。山名さんを連れて教室を出たのだった。




