第23話 あっあっ
5時に間に合わなくて申し訳ないです。
「えーっと…そしたらお願いしようかな。」
その気迫で来るなら請け負って貰おうかな、無理に断ったらそれこそ思いつめるかもしれないし。
「…はい!」
「えっとじゃあとりあえず君の名前を聞こうかな。俺の方はどうなんだろう?自己紹介した方が良いかな?」
「いえ!大丈夫です!…えっと私は山名翠です。よ、よろしくお願いします!」
背筋が反りそうな勢いで伸びたまま微動だにしない勢いで緊張しきってるなあ。とりあえず名前は知れたけどどうしようかな。
「こちらの方こそよろしく、山名さん。」
「はい!…そ、それで何をすれば。」
まあ聞いてくるよなあ、とりあえず顔が広そうな感じでもないし仲介してもらうのは難しそうだからダメ元で試してみようか。
「じゃあ知り合いから頼まれたゲームのテスターをして欲しいな。」
「はい!」
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ルールを教えて一通り対戦してみた。やってみた感じルールの覚えは悪くないんだけど、いかんせん緊張が抜けないままなんだよね…
「えーっと…やってみた感じ、どうかな?」
「あの、えっと…その…」
「あー大丈夫だよ。忖度の無い意見が欲しいんだ、みんな遠慮して言ってくれないからね。」
…あ、まずい山名さんの顔が青褪めてる。何か言いづらい意見があって言い淀んでた訳じゃないのにこんな事言われたらますます何も言えなくなっちゃうよな。
「うん、ごめんやっぱり言わなくて大丈夫だから。」
「いえ!大丈夫です!えっと…えっと…」
とりあえず昼休みが終わりそうだから山名さんを帰した。…目に涙が浮んできてて思わず明日もお願いする事にしてしまったけど、どうしたものかな。




