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92.宿調査【3】

 僕は「ライト」と言い、サラにライトを生成してもらう。


「まず僕が降りるからリア、サラという順番でついてきてくれ。くれぐれも滑るな」


 リアルにフラグじゃないぞ?

 普通に怪我するから。大怪我するからな。


 まずは言った本人である僕が滑らないように、足場を照らしながらゆっくりと一段ずつ降りて行く。

 リアを二番目にしたのは念の為。

 何かあっても回復役であるリアが無事ならある程度はどうにかなるからな。


 それにしても、最近まで使われていたのか梯子には埃がほとんどない。

 これは隠し通路確定と言っていいだろう。


 数分後、地下と思われる場所に到着。

 すぐに電気のスイッチのようなものを押して明かりをつける。

 明かりがついた頃には、リアとサラも無事到着。

 二人は「ふぅ~」と息を吐きながら軽く肩を回している。

 結構、梯子が長かったから少し疲れたのだろう。


 少し休憩していると、リアがその場をグルっと見渡して口を開く。


「普通の部屋ね」

「恐らくココはこの場所で生活していたんだろうな」


 降りた先にあったのはリアが言った通り普通の部屋。

 僕たちの部屋と差ほど変わりのない部屋だ。

 違う点は謎の扉が二つ、降りて来た梯子を含め梯子が二つあるという点だけ。

 その扉と梯子は後回しにして、まずは適当にこの場所にあるものを漁っていく。

 何かしらマーキュリーに関する手掛かりが出てくるかもしれないからな。


 数分、色々漁ってみたが何も見つからず。

 だが、おかしな点が一ヶ所だけあった。

 それはベッドが一台しかない点。

 グループは三人一組なのに、ベッドが一台しかないのはおかしい。

 三人で一台のベッドを使っていた可能性もあるが、他の家具を見る限り一人分しかないので、その可能性は低いと言える。

 つまり、ココは一人で過ごしていた可能性が高いということ。

 一体、他のグループメンバーはどこにいたのだろうか?

 まぁどこにいようとも、もう死んでいるはずだが。


「一通り見たし、扉から見て行くか」

「そうね」


 扉は鉄と木の二種類がある。

 何となく怪しい鉄を後回しにし、先に木で出来た扉から調べることに。

 木の扉には鍵穴がなく、ドアノブを回すとすぐに開いた。


「えっ、またフェイク扉?」


 木の扉の先はまた壁。

 だがしかし、先ほど壁とは少し違う。

 試しに僕は軽く叩いてみる。

 音は少し軽い。

 分かりにくいが湿り気があり、少しカビの匂いがする。


「いや、これは……お風呂場の着替えを置く棚だな」

「ってことは、この扉はお風呂場に繋がっているの?」

「だと思う。恐らくこれも盗み聞き用だ。棚が動かされた形跡はないからな」

「確かにお風呂場なら話声も響くし、ここからでも充分聞こえるはずね」


 それに頷き、僕は鉄の扉へ。


「そこ開かない」

「サラ、勝手に触ったのか?」

「うん。でも、開かなかった。壊れる気配もない」

「怪しいがサラでも開かないならどうしようもないな」


 念の為、僕も試しに扉を開けようとしてみるがビクともしない。

 見た感じ鉄だったが、実際に触ってみるとどこか鉄とは違う感触。

 特殊な物質で出来ている可能性が高い。

 それに鍵穴もドアノブもないというのは不自然だ。

 無理矢理開けるのは少し危ないかもしれないな。

 こんな場所にあることを考えても、トラップの可能性も無きにしも非ずだ。


「この扉は無視してもう一つの梯子を登ろうか」


 先ほどと同じように僕を先頭に梯子を登っていく。

 数分後、一番上に着くと先ほどリアが手にしていた扉のドアノブみたいものを発見。

 僕は落ちないように気を付けながらドアノブを握り、ゆっくりと捻って押す。

 すると、見たことのある景色が広がっていた。


「キッチンか」

「なるほど、ここに繋がっていたのね」

「さっきは全く気付かなかったけど、確かによく見ればここだけ変だな」

「そうね」


 三人とも登り切り、大きく息を吐く。

 上り下りした上に、色々と漁ったんだ。

 流石に疲れた。


「この宿の全貌はこんなものだろ」

「思っていた以上に広かったわね。それと疲れたわ」

「あたしも」

「ああ、そうだな。じゃあ、そろそろ部屋に戻るか」


 僕がそう告げるとすぐさま二人はキッチンを出て部屋へ。

 その背中を見ながら、僕も部屋に向かう。


 今回この宿を調べて見た結果、マーキュリーに繋がる手掛かりらしきものはなかったが、それに関しては相手に隙がなかったということを褒めるしかない。

 結論から言うと、やはり僕たちの情報を得るため、殺すため専用の宿だった。

 よく出来たからくり屋敷のようでかなり驚かされたが、それだけマーキュリーも僕たちを殺すことに本気ということなんだろう。

 本当に本気のようだな、マーキュリー、いや、『一族』の奴らは。


 それにしても、心残りなのはあの不自然な扉。

 あの先に何があるのか気になるが嫌な予感もする。

 それにイベント前だ。

 リアがいるからといって、無駄な負傷は避けたい。

 身体面でも精神面でも、今の僕たちはかなり疲れている。

 イベントまで後はゆっくりしよう。

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