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80.娯楽スポット巡り

 予想通りあの日以来、グループ戦の申し出は嘘のように無くなった。

 無駄に話しかけられることもなく、むしろGレイヤーの人々からは避けられているという感じだ。

 流石にこの掌返しには驚かされたが、数日後にはそんな対応にも慣れた。


 グループ戦の申し出が無くなり、僕たちは一段落したもののGレイヤーに来てからの一ヶ月間はグループ戦しかしていなかったせいか、一日をどのように過ごすか分からなくなっていた。

 Iレイヤーにいた時のように狩りでもしてみるかという話にもなったが、Gレイヤーの狩りは海釣りのみということで断念。

 ココに聞く限り、Gレイヤーでは狩りより商売とか。

 狩りはあくまでも商売をするための一部でしかないらしい。

 もちろん、僕たちには商売する場所も売る物もないので商売の方も断念。

 で、結局たどり着いた答えは「遊ぶ」ことだった。


 前にも言った気がするがGレイヤーには娯楽スポットが多く存在する。

 そういうわけで一ヶ月という長い間グループ戦を頑張った分、イベントまではGレイヤーのありとあらゆる場所へ行き、遊びつくそうということになった。

 当然、僕の奢りで。


 最初に行ったのは僕たちが泊るココの宿から一番近くにある娯楽スポットの海。

 そこで発覚したのはサラが泳げないということ。

 運動神経の良いサラでも波と海水で泳ぐことに苦戦し、一通り泳げるようになるのに一週間もかかった。

 僕的にはクロールと平泳ぎだけで充分だと思っていたのだが、サラは意外なことに完璧主義者でほとんど使わないであろう背泳ぎとバタフライも習得していた。


 海で遊んだ次は適当にGレイヤーの娯楽スポットを回ることになった。

 まずはショッピングモール。

 かなり遠いということもあり早朝に出発。

 ここでは僕が荷物持ち係となって買い物と買い食い。

 僕の視界が見えなくなるまで、二人に日用品やその他色々と買わされ持たされた。

 結果、大荷物のせいで宿に帰って来たのは次の日の朝方となった。


 次にショッピングモールで新しく購入した水着(サラのバストアップ効果を理由に買わされた)を二人が早く着たいということで少し遠い湖へ。

 その理由なら海でもいいのではないかと思ったが、二人は湖も見てみたいということだった。

 湖の距離的に日帰りだと一時間泳いで終わりみたいになってしまうので、ココの伝手で湖の近くの宿を紹介してもらった。

 湖では海同様に楽しく泳ぐことを始め、カヌー体験、釣り体験など。

 他にもバナナボートなんかもして、湖に落ちた勢いでサラの水着の上部が行方不明になったりもした。

 結果、七泊ほどしてかなり疲れたが、新しい体験が多く、僕的にはかなり充実した七日間だった。


 湖からココの宿へ帰って来て数日休養し、次は湖の真逆の位置にある水族館へ。

 大きなジンベエザメを始め、ハンマーヘッドシャークやマンボウ、イワシの群れが大きな水槽で泳ぎ、小さな水槽には色鮮やかな魚やクリオネが踊るように泳いていた。

 蟹やイカ、タコのエリアではサラがダラダラとよだれを垂らしていたが、リアが首根っこ掴んで即その場から退散させた。

 もふもふとした可愛らしいペンギンエリアでは、リアが目をハートにして「可愛い」という言葉を連呼。

 一方、サラは何故かペンギン歩きを始めて楽しんでいた。

 イルカショーでは、最前列の席に座って凄まじい水をしぶき浴び、リアとサラはイルカの握手会に選ばれ、リアはとても楽しそうに、サラはオドオドしながらイルカと握手をして餌をあげていた。

 水族館は数日通うことなく、一泊だけしてすぐに宿に戻った。


 他にもGレイヤーにある娯楽スポットへ行き、ここ最近は充実した日々しか過ごしていない。

 幸せな毎日である。


 そして今日は九月の中旬。

 公開グループ戦と言う名の偽グループ戦を行ってから丁度一ヶ月半。

 早いことに半月後には、僕たちにとって二度目のイベント迫っていた。


「ゼロ、何しているの! 私は先に行くわよ!」

「あたしも行く!」

「そう慌てるなよ。走ると滑ってこけるぞ~」


 そんな二度目のイベントが近付く中、僕たちは今日も娯楽スポットで遊んでいた。

 今日来ているのは最近オープンした大型プール施設。

 前に一度プールには行ったことがあったが、ココの宿の真逆の位置にあるというこもあって移動がかなり大変だった。

 加えて、クオリティはあまり高くなかったことからリアとサラもうんざりという感じ。

 だがしかし、今日来ているこの大型プール施設は前のプールとは全くの別物。

 巨大なウォータースライダーを始め、流れるプール、ウォーターアスレチックなど。

 桁外れの豪華さを誇り、もちろん普通のプールも存在する上に、温泉施設も完備されているというプールの全てを集めたようなプールなのだ。

 極めつきは大型プール施設がココの宿から徒歩で約一時間ほどの近場にあるということ。

 値段は少し高めだが、払うだけの価値は充分あると言える。

 一つ欠点があるとするなら、オープンしたばかりなので、かなり混雑しているという点。

 そこは仕方ないとしか言いようがないので、遊び足りなかったらまた来るしかない。


 ――バタンッ!


「いた……」


 サラの奴、折角優しい僕が注意してやったというのに、無視して走るから転ぶんだよ。

 全く、相変わらず子供だな。


「はぁ……だから言っただろ?」

「リアお願い」

「はいはい、仕方ないわね」


 僕の言葉を完全に無視し、サラがリアに怪我した膝を出す。

 見た感じ掠り傷のようで、心配することはなさそうだ。

 待つこと数秒。


「治った」

「有能な絆創膏がいて良かったな」

「誰が絆創膏よ! それよりも早く行きましょ!」


 リアは僕の言葉に一応ツッコミを入れ、ワクワクした笑みを浮かべながらその場で足踏みしていた。

 Gレイヤーの娯楽スポットに行き始めてからはよく見る光景だが、とても子供っぽい。

 まぁ胸はボヨンボヨンしているせいで子供っぽくないけどな。

 てか、上下に揺らすの止めて!

 周りにいる男たちの視線がこっちに向いてるから!


「分かったからそう慌てるなよ。一旦、落ち着け」

「そ、そうね。少し興奮しすぎてしまったわ」


 僕の言葉を聞き「ふぅ~」と息を吐いて頭を落ち着かせるリア。

 その一方で周りの男たちは、先ほどリアが興奮して胸をボヨンボヨンと弾ませる姿を見たせいか完全に興奮してしまっている。

 だが、そんな男たちに対し、一番リアの近くにいる僕は一切興奮していない。

 Gレイヤーに来てから二ヶ月半もの間、海や湖、プール、それに普段から見飽きるほど見ているからな。

 もうこの水着姿には見慣れたものだ。

 ゼロは水着耐性を手に入れたって感じである。


「リア、興奮するとか変態」

「そ、そういう興奮じゃないから! サラこそ足大丈夫なの?」

「大丈夫! ほら! もうこんなに激しく飛んでも痛くない」

「そ、それは良かったわね」


 リアはサラに効果的な言葉を返すことが出来ず、「ふん~」みたいな感じでその場をやり過ごそうとしていた。

 サラもリアを煽るのが上手くなったものだ。

 多分、無意識だけど。


「……そんなこと言うなら治さなければ良かったわ……」


 おーい、リアさん。

 本音が口から漏れてますよ~。


 そんなことはどうでもよくて、そろそろ動き出さないと時間が勿体ない。

 会話なんかスライダーに並びながらでも出来るしな。

 見た感じ二人とも準備は出来てるようだし、この大型プール施設を遊び尽くすとするか。

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