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73.Gレイヤー初のスキル確認

 現在の時刻は午後十時過ぎ。

 僕たち三人は既にお風呂から上がっており、今は寝巻姿でベッドに腰を下ろしている。


「サラ、ここをこうして……こう!」

「あっ、あぁ……」

「それから、次はこうやって……」

「はぁっ、はぁ……リア、そこ凄い」


 何故か目の前でリアがサラの胸を激しく何かを指導するように揉んでいる。

 そのせいでサラの口からは初めて聞くような艶やかな声がもれ、部屋中が段々とピンク色に染まり始めていた。

 僕は一体何を見せられているのだろうか?

 と、思いながらその光景をジト目で見ているのだが二人は反応すらしない。

 このままでは困るので、仕方なく二人に声をかける。


「おい、何してるんだよ」

「サラにおっぱいマッサージを教えているのよ。サラ、気持ちいい?」

「うん、凄い。気持ちいい」

「いや、続けるな! 今すぐ止めろ」


 僕がそう言うと、リアは少しニヤッと悪い笑みを浮かべて先ほどより激しく手を動かす。


「ちょ、リア! ダメ、なんか、なんかぁ……それは違うぅ~」

「おいっ!」

「いてっ」

「止めろと言ったのに、何で逆に激しくするんだ!」

「ゼロは変態だから喜ぶかなーって!」


 リア、その言葉は綺麗な満面の笑みをしながら言うことじゃないぞ。

 てか、サラの胸を揉んでいるリアに変態なんて言われる筋合いはないなんだが。

 むしろ、変態というセリフは僕のものだ。


「はぁ……僕はリアと違って変態じゃないし、喜ばない」

「その言い方だと私が変態になるんだけど」

「そら変態だから仕方ないだろ」

「どこがよ! この純粋な私を見てよくもそんなこと言えたわね」

「サラの胸を揉むのを止めてから言ってくれ。説得力の欠片もない」

「うっ……」


 全く、リアの奴いつまで揉んでいる気だ。

 それとサラもサラである。

 確かにおっぱいマッサージをリアに教えてもらうのはいいと思うが、時と場というものを考えてほしい。

 そして抵抗するということを学んでほしい。

 今、サラは完全にリアにセクハラされているだけだからな。


「サラ、教えてもらうのはいいが、僕のいないところでやってくれ」

「はぁっ、はぁ……な、何で?」

「それだよ! そんな感じで頬を赤らめていたら、この場の空気がおかしくなるだろ?」

「この世界に空気とかあるの?」

「そっちの空気じゃない。はぁ……もういい」


 僕は呆れてもうかける言葉も見つからない。

 リアの方は無駄にニコニコし、こちらを見てきているが無視だ。

 それより今はまずサラに水でも飲ませて、火照った顔と体を平常に戻さなければいけない。

 ということで、僕は冷蔵庫から水が入ったペットボトルを二本取り出してサラに一本渡す。


「少し頭を冷やせ」

「う、うん」


 サラは小さく頷くように返事すると、蓋を開けて一気に半分ぐらい飲み干した。

 同じく僕も喉を潤す程度に水を飲む。


「って、私の分は?」

「ん? 知らん」

「ひ、ひどっ!」


 先ほどまでニコニコしていた奴に優しくする義理などない。

 それに……


「な、ない! もう水がないよ」

「まぁ、そういうことだ」


 僕はリアに向かって、親指を立てグーっとして口角を上げた。

 変態扱いしたお返しだ。

 これに懲りたなら、今後は僕をからかわないことだな。

 と思っていると、リアが僕の胸に躊躇なく飛び込んで来て、僕のペットボトルを奪い取る。

 そしてニヒっと笑い、僕の水を一気に飲み干した。


「おい、全部飲むことはなかっただろ?」

「ふんっ!」

「はぁ……まぁいいけどさ。それよりもリア、なんか顔が赤いぞ?」

「は、はっ!? そ、そんなことないし!」


 僕が心配してそのような質問をすると、リアは必死に否定してすぐに顔を逸らした。

 よく分からない奴だ。

 部屋はそこまで暑くないと思うし、一体何が原因だろうか。

 まぁそんなことはどうでもいいか。

 それより早く明日の話をしないとな。


「そろそろ話を始めたいんだがいいか?」


 サラは落ち着いたのか「うん」とだけ言い、一度立ち上がってベッドに座り直す。

 リアの方は大きな深呼吸をし、手に持っていた空のペットボトルを握り潰して「こっちもいいわよ」と言い、サラの隣に腰を下ろした。


「まず二人のレベルとスキルの現状を教えてほしい」


 ここ最近、グループ戦が多かったからな。

 相当レベルは上がっているはずだし、スキルも進化しているに違いない。

 だから、このタイミングで優秀なスキルを持っている二人には、自分のスキルの現状を再確認しておいてほしい。

 それとスキルの現状をグループ内で共通しておくことは重要だ。

 特にスキルなしの僕は二人のスキルに頼ることが多い。

 だから、いざという時のためにスキルの現状を知っておくということはかなり大切になってくる。


「現在、私はレベル43。回復スキルの方は重症もある程度は完治可能よ。加えて私自身に毒耐性と麻痺耐性が付いたわ」

「毒耐性と麻痺耐性? リアのスキルは回復だろ?」

「えっと具体的に言うとね。毒耐性と麻痺耐性と言ったけど、その毒と麻痺が効かないわけじゃないの。ただ効いた上で私自身の体が自動的にその毒と麻痺を回復させるようになったみたい。もちろん、限度にもよるみたいだけどね」

「なるほどな。じゃあ、普段は体力も自動的に回復しているのか?」

「それはまだみたい。自動的に回復できるのは今は毒と麻痺だけらしいわ」

「そうか。まぁそれでも充分凄いけどな」


 リアの回復スキルが自身を回復させることが可能なのは知っていたが、まさか自身の体を自動的に回復まで出来るようになるとは驚きだ。

 今はまだ毒と麻痺だけと言っていたが、いずれリアは自動的に自分の体を回復することが可能になるはずだ。

 そうなれば、BNWではあり得なかった不老不死を手に入れることになるだろう。

 まぁそこまでは求めていないが、リアが自分の回復ではなく、僕とサラの回復に専念できるようになることはプラスだと言える。

 今後に期待しておくか。


「サラの方はどうなんだ?」

「あたしもレベルは43。スキルは両手サイズは無限生成可能。それと上半身サイズは一日一個ぐらいならギリギリ作れるようになった。けど、上半身サイズを生成した日はもう動けないと思う」

「まだほとんど使ってなかった両手サイズがもう無限生成か。体力の消耗はどうだ?」

「掌サイズと差ほど変わらない。でも、生成スピードが少し劣るかな」

「まぁそこは仕方ないところだ。それよりも上半身サイズは時間のある時に試してみようか。サラのスキルは優秀すぎる故に欠点も多いからな」

「分かった。またその時は言って」


 僕はサラの言葉に「ああ」とだけ返事する。


 それにしても、ついに上半身サイズの生成が可能か。

 一気に生成対処が増えたが、まだ実践で使うことは不可能だろう。

 なぜなら、サラのスキルは基本無限生成ラインまで来ないと、実践で使えるレベルにならないからな。

 だが、無限生成が可能になるとそれはもう異常なまでもの力を発揮することは掌サイズの無限生成で証明済み。

 とにかくサラのスキルは欠点が多い。

 だから、ゆっくり慎重にサラの体と相談しながら、使っていくべきだろう。


「で、ゼロの方はどうなの?」

「ったく、また嫌味か?」

「んー、多分?」

「多分じゃない。間違いなく嫌味だ!」


 僕はリアにハッキリとそう言い、ジーっと睨みつけてやった。

 すると、リアは「ご、ごめんごめん、えへへ」と苦笑いしながら謝ってきたが、僕がその言葉に反応することはなかった。


 だって、スキルなしの僕からしたら、その嫌味かなり刺さるからな。

 他の人ならまだレベル100でスキル追加という希望はあるけど、僕はまずレベルが上がらないからその希望すらない。

 つまり、僕がスキルを手にいることは理論上不可能。

 そう、不可能なのだ。

 僕だってスキルをファンタジー世界の魔法みたい使ってみたなーとか時々思う。

 そんなことは子供みたいな考えと思うかもしれないが、やはり他の人が持っていて自分だけ持っていないというのは悲しいものなのだ。

 はぁ……もうスキルの話は終わりにしよう。

 気分をこれ以上下げたくないしな。


 ということで、僕は話を変えることにした。

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