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1.ゼロ

 2077年、人類の95%がクラウド上に転送された地球。

 そこは新たな進化と技術革新が起こり始めていた。


 人間とアンドロイドの融合。

 人体を捨て、アンドロイドの体に精神を転送する。

 つまり、体はアンドロイド。精神は人間。

 この融合により地球上でも人類は不老不死を手に入れ、地球に残った人類の5パーセントは『地球』と『人間』、『アンドロイド』の共存を本格的に始めた。


 人間の命を繋ぐ、動物的行動はこれにて終了。

 これからは人間とアンドロイドが更なる進化を求めていく時代になっていくのだ。


          ⚀


 ここは白黒模様の部屋。

 何もかもが白と黒のみ。

 机も椅子もパソコンも。そして僕の服装も。

 目がおかしくなりそうな、気持ち悪い部屋だ。

 そんな場所に僕はいる。


 僕の名はゼロ。年は16歳。性別男性。

 体はもちろんアンドロイド。

 最初は慣れなかったが、いつの間にか普通に感じるようになった。

 食事、排便、運動などはしない。

 太らなければ、病気にもならない。そして死なない。

 だから、この体はとても便利である。


 今日は四月十三日。

 現在、僕はパソコンを触っている。

 この体なら、直接ネットワークを使えるが、まだそれを使っているのは一部の技術者のみ。

 僕みたいに、パソコンやスマホを利用する者の方が多い。


 それより僕が今、何をしているのか? 気にならないか?

 いや、気にならない?

 まぁそらそうか。


 地球に残された人間は基本的に研究者、富裕層、そしてクラウド上のシステムを管理する者が大体だ。

 僕はその中の『クラウド上のシステムを管理する者』に掠る。

 管理する者に『当たる』ではなく、なぜ『掠る』のか。

 それは親が管理する者だからだ。

 簡単に言えば、僕は親の力によって地球上に残されただけ。

 でも、残ったからにはやることは与えられる。

 富裕層のように遊んで暮らせはしない。


 じゃあ、そろそろ僕がパソコンでやっていることを言おうか。

 僕がやっていることは……


 ――ピィー、ピィー


「ハッキング者を確認。直ちに確保する」


 僕の部屋に大量の警備アンドロイドが入ってくる。

 そして僕の父も後ろから現れた。


「セキュリティは全然ダメだね……父さん」

「俺はお前にクラウド上の世界の監視を頼んだはずだが?」

「別に少し遊んだだけじゃないか」

「遊ぶ?」

「ちょっとしたゲームの課金のようなものだよ」


 そう、僕がしていたのはゲームの課金のような実験。

 それはそれは僕に一切のメリットのない課金だけど。

 好奇心には逆らえなかった。


「な、何をしたっ!」

「アド様、これです」


 父さんは眉間にしわを寄せて、秘書アンドロイドからタブレット画面を見せられる。


「これは……。ゼロ、お前は失敗作だったようだな」


 その言葉を最後に僕の意識は飛び去った。

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― 新着の感想 ―
[一言] クラウド上のシステムを管理する者が大体だ。 は? クラウド上のシステムを支配するのはAIじゃなかったけ そんなAIがなんで管理者どもって連中に従っているんだ? それが可笑しいんだろ。 …
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