0.世界人口100億人
この世には解けない謎が多く存在する。
その一つが人間の存在だ。
『どこで』『どうやって』生まれたのか。
ダーウィンの進化論を習った人間なら、魚類から両生類へ、両生類から爬虫類へ、そして爬虫類から哺乳類(人間)へ進化したと認識しているだろう。
しかし、ダーウィンの進化論は2018年に崩壊している。
専門学者が言うには『人間を含む地球の生物種の90%以上は、地上に現れたのがこの20万年以内』らしい。
つまり、ほぼ全ての生物は『進化してきていない』のだ。
まぁ何が言いたいか。
それは人間を含む地球生物の90%以上の存在は謎。
と、雑談はここまでだ。そろそろ本題に入る。
そんな謎の存在『人間』も2055年に世界人口が100億人を突破。
ここまで人口が増加した理由は二つ。
一つは戦争、テロなどの減少による世界平和の到来。
そしてもう一つが2030年頃に話題となった火星移住計画の失敗だ。
火星移住計画に関しては人間にはまだ早かったとしか言いようがない。
と言っても、世界人口100億人は大問題だ。
有名な『アースガイドライン』という謎の石版にはこう書かれている。
――地球上の人類を5億人以下に維持すること。
なぜ5億人なのかというと、地球と人間が共存するのにベストなのがこの数らしい。
つまり、地球から約95億人もの人間を減らさなければならない状況というわけだ。
そんな状況から5年後の2060年に人口増加を食い止める大発明が発表される。
それは『意識の電子化』。
これにより人間は精神(意識)をコンピューター上に転送が可能になり、事実上の『不老不死』を手に入れることに成功した。
今の説明を簡単に言うと、2046年に発売されたVRMMOの世界にゲーム機のようなものなしで、コンピューター上=クラウド上(電脳世界)に入ることが出来るようになったというわけである。
2061年、存在価値スコアによる精神転送者の選別開始。
存在価値スコアとはAIが人間を『資産』『行動』『交友関係』『身分』『信用度』の5つを基準に数値化するシステム。
存在価値スコアの数値が低い人間が精神転送の対象者になる。
2070年、世界のトップ達はこの存在価値スコアが低い人間を強制的にクラウド上へ転送する『精神転送計画』を開始。
精神転送計画は2070年から2077年の7年間行われ、世界人口の95%の人間はクラウド上に精神を転送された。
もちろん、クラウド上に転送され、残された体は焼かれて灰へ。
こうして人口問題は解決した。
しかし、この精神転送計画が新たな問題を引き起こす。
それはクラウド上に転送された人たちの反発。
クラウド上の世界=AIに支配される世界。
地球ではどんな生物よりも人間が上だった。だが、クラウド上の世界では違う。
AIが上で人間が下。
このAIに支配された世界での生活に、人間は耐え切れなくなったのだ。
すると、クラウド上を支配するAIは人間に希望とも言える制度を作った。
――『実力協力制度』
これはクラウド上の世界におけるランキング制度。
そしてAIは言った。
クラウド上の世界でトップになったグループは地球へ返すと。