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鬼の運命と残酷な人  作者: 冬黒兎&緋月終夜
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第2話 人間の都

今回は冬黒兎です

「吏佐ー、早く起きなさーい!」

「んー…今行く」


寝ぼけた少女……吏佐が目を覚ます。

吏佐は古く年季の入ったベッドから起き上がり普段着に着替える。

そこへ連鎖れんさが「今帰った」と家に帰った音が聞こえる。


「お帰りなさい、お昼出来てるわよ」

「ありがとう、母さん」

「コラ、しっかり手を洗いなさい」

「わかってるよ、父さん」

「連鎖~何かお土産はないのかしら?」

「何もねぇーよ、姉さん」

「お兄ちゃん!お帰り!」

「あぁ、ただいま、吏佐」


家族全員に迎えられ、年季の入った椅子に連鎖は座る。


「お兄ちゃんお兄ちゃん、どこ行ってきたの?」


吏佐は年季の入った椅子に「ドカッ」といきよい良く座る。


「吏佐、壊れやすいんだから優しく座ってよね……直すの私なんだから」

「うぅーわかったよう、お姉ちゃん」

「姉さん、吏佐だって悪気は無いんだからその辺にしとけ」

「ほんっと、私には優しく無いんだから………」

「ウフフ、佐奈さなは一番のお姉ちゃんだからしょうがないわよ」

「む、なんかムカつく」


そこで、家族皆で大笑いをする。


「お、そういえば連鎖」

「何?父さん」

「どこに行ってたんだ?」

「人間の都だよ」


鬼の子供は人間の子供となんら変わりない。

幼さ故の興味が溢れ出てくる時期なのだ、吏佐にとっては親や兄弟、姉妹の話は気になって仕方のないだろう

しかし子供と言えど鬼の迫害されている現状は知っている、しらなくてはならない。


「ほえー、怖くなかったの?」

「あぁ、角を隠してたからな」

「何してきたの?」

「吏佐には難しいと思うけど…」


と言って連鎖は話を始める。


〜人間の都、共帝国〜


人間が闊歩する姿がいつものような場所だが

今日はいつもと違った、共帝国中央区ルミナス城に向かう共帝国の軍勢、

共帝国は隣国との戦争での兵つ御披露目であった

その軍勢の中には歳も様々な鬼が人間の兵士と共に歩いていた

先頭にはこの軍勢の隊長格であろう人間が歩いている。


そんな城下町の中にある一件の酒場

そこの酒場には昼間から呑んだくれる者、昼飯を食いに来るもの様々であった。


「マスター、エールを一杯」


灰色のフードを深く被った青年が酒場のカウンターに座る

この酒場は元がバーだったこともありその名残が残っている。


「あいよ、エール一杯」


この酒場の主人であろう男はフードの青年にエールを出すと同時に青年に耳打ちをする。


「これは俺のお節介なんだが、兄ちゃん、この町ではフードを深く被らない方がいいぞ」

「なぜ…?」


青年は何もわかっていない様子

そんな青年の様子に酒場の店主は納得したような顔をする。


「あー、外門区画から来た身かい、それなら知らないのも頷けるね、まぁ兄ちゃんに対する答えなんだが【討伐者】が城下町に居てね、そいつらに間違われると厄介だからだよ」


酒場の主人は大袈裟に手でジェスチャーをしている。


「兄ちゃん、いくら外門区画でも【討伐者】は知ってるだろう」

「すまない、無知でな」


訝しむ様に酒場の店主は青年のフードを見た。


「……あんた……もしかして鬼かい?」

「ッ!!」

「待ちな、この酒場は平等を看板に背負ってんだ、鬼だろうがなんだろうが疎外はしないよ」


酒場の主人の言葉で、席から浮き上がらせかけていた尻を一旦落とす

フードを被った青年は小さな声でつぶやく。


「たしかに俺は鬼だ、で、その討伐者というのを教えてくれないか?」

「そうかい…鬼のあんたにはショッキングな話かも知れないけどね、それでも良いなら話してやるよ」

「構わない」

「ま、話してやるよ、討伐者ってのはこの城下町にいる過激派宗教団体さ、人は神の子と信じて疑わない連中さ、それに人間の街ではねぇ鬼は人間より劣った存在って考えてられるんだよ、ここまでくればあんたにもわかるな?」


酒場の主人は男は酒場で馬鹿騒ぎする愉快な連中を目に移しながら

フードの青年に問う 。


「鬼は劣勢種族でこの世界には必要ない…か?」


男はフードで顔はよく見えないが

悲痛そうな声で答えた。


「そうさ、そんなことを考えてる連中で作られた組織それが【討伐者】さ、これが厄介でね、兄ちゃんも見ただろ?あの軍隊を、あの先頭で偉そうにしてるやつも討伐者だよ、そのほかにも共帝国の幹部とか、色々力を持ってるやつが千人だ、お節介だけどね、人間の街には来ない方がいいぞ」


こう言って主人は後ろの方で昼から酒を飲み馬鹿騒ぎをしている連中に「コラァ!あんたらも昼間から飲んでないで帰りな!」と言っている、平等ではなかったのだろうか?

まぁ、こう言って自分の味方になる人間がいるってだけでも安堵が出来た、人間の全ては敵でははいと、それと同時に不安も生まれた、【討伐者】である。


「主人、カウンターに金は置いておく」


馬鹿騒ぎをしている奴をとっちめている主人に声をかけておく

主人は片手を挙げて返してきた。


「………討伐者、ね」



―――――――――――――――


「大体こんな感じだ」


連鎖が話を終える。

吏佐は途中で眠ってしまった。


「討伐者ですって!?」

「あぁ、そうだ」

「だったら何か対策をしないと…」

「慌てるな、姉さん。こんな森の中でニンゲン達が見つけられるわけないじゃないか」

「でも……」

「じゃあ、連鎖、これから鬼の一族に報告をしに行ってきてくれないか?」

「あー……わかったよ、父さん」


連鎖は一瞬嫌な顔をしたが、同意した。


「出来ればすぐにでも行ってもらえると嬉しいのだけれど…」

「わかった」


連鎖は玄関へ向かった










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