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長年の想いを  作者: 叶山 慶太郎
5/9

急展開

真面目に書いたやつより遊び半分で書き始めたこっちの方が読まれてる。ちょっと複雑

「「御馳走様でした」」


二人が手を合わせ揃って口を並べる。ガタガタと椅子を動かして立ち上がり、カウンター横のレジへと向かう。


「ありがとうございました。1944円です」


明人と香菜子が財布を取り出し中を探る。明人がささっと香菜子が出す前に英世を二枚佐藤へ差し出した。


「お釣りの56円です」


佐藤が明人へ手渡す。「やるじゃん」とでも言いたそうな笑みを浮かべながら


「え、ちょっとアキ?」


「どうした?」


「どうした、って私の分まで・・・」


「気にすんな。最近金使ってなくて貯まってきたから払っただけだ」


「それ払う理由にならないよ。悪いよ」


「香菜子ちゃん。ここは察してあげるべきだと思うけどなー」


やや棒読みで佐藤が挟む


「察する?」


「先輩余計なこと言わなくていいです」


「あ、そう?そりゃ残念。また来てね。香菜子ちゃんも」


「あ、はい。もちろんです。とてもおいしかったです」


「ありがとね。飲食店にとって最高の誉め言葉よそれ」


爽やかな笑顔だ。それはごく自然で表面だけのものではなかった。


「最近この辺で不審者が出たらしいから気を付けてね。樋田君、ちゃんと守ってあげなよ」


「あ、はい」


「うわ、適当」


「いやこいつ空手やってるんで。むしろ守られそう」


親指で香菜子を指す


「あ、そうなんだ意外。こんなに可愛い子がねえ」


「そ、そうですか?」


やや照れが見られる。明人は誉めなかったので尚更だ


「うんうん。随分お洒落してるみたいだね」


すっと香菜子の耳元に寄り


「デートだから張り切ったの?」


「!?」


「ははっ、わかりやすいね」


クスクスと笑う佐藤


「い、行こ!」


「お、おう。あ、御馳走様でした」


「また来てね~」


香菜子が明人の腕を引っ張り、佐藤は陽気に手を振る

ガララッと戸を閉め二人は歩き始める


「ねぇ、アキ」


「ん?」


「アキはさ、佐藤さんのことどう思う?」


「どうって?」


「あ、いやいい人だなーって思ったから」


「確かにいい人だよな。なにかと世話やいてくれるし。なんつうか年上のお姉さんって感じだな」


「そ、そうだねー」


(こ、好評価・・・)


「あ、アキはああいうひとがタイプだったりする?」


「いや別に」


(あれ即答?)


「恋愛感情は全く無い」


「そ、そうなんだー」


(よかった~!!)


「てかさっきから何?」


「あ、いや別にちょっと聞いてみただけ。あはは・・・」


「ふーん。で、次どうする?」


「あ、そうだね。う~ん・・・」


(ボーリング、カラオケ、あとゲームセンターとか?アキは何が好きなのかな?)


などと思案していると


「カナ!」


「え?わっ!」


香菜子はいきなり明人に引っ張られた。そしてそのすぐ横を自転車が勢いよく走っていった。


「危ねぇ・・・お前もぼうっとしてんなよ」


話している最中明人は香菜子を抱き締めるような形をとっていた。引っ張って受け止めてそのままという感じだ


「お、おい大丈夫か?ひょっとしてどこかぶつかってたのか?」


香菜子は無言だった。ぶつかったからではない、今のこの抱き締められているこの状況のためだ。


「~~~~~!!」


顔を真っ赤にして拳を握る香菜子


(やば、怒らせた!)


少し距離をとり臨戦態勢をとる。が


『暴力禁止』


この言葉が香菜子の頭をよぎり拳を振るうことはなかった。しかしその代わりに


「う、」


「・・・・・う?」


「うわあああああああああああああああ!!」


走り去っていった


「は?」


(なんなんだあいつ・・・・俺どうすりゃいいの?帰っていいの?)


そこまで考えて先程の佐藤の言葉を思い出す


『最近この辺で不審者が出たらしいから気を付けてね。樋田君、ちゃんと守ってあげなさいよ』


「・・・・・ったく」









「ハァハァ・・・・・」


・・・・・逃げてしまった。

仕方ないじゃん!いきなり抱き締められたんだよ!?他意はないんだろうけどさ!助けてくれてありがとうございます!

どうしようかなあ。もう帰ろっかな。そういえば・・・・


ここどこだろ


結構走ったからなあ。日々のランニングが仇になってしまった。

・・・・・やばくないこれ。落ち着こう一旦落ち着こう。高校生で迷子とか絶対アキに呆れられる。もしくはバカにされる。


そういえば昔もこんなことあったっけ。遠足で私だけはぐれちゃったんだよね。それで私が泣きそうになって、そしたらアキが来てくれて、いろんな人に道を聞いてなんとか目的地まで辿り着いたんだけど先生にすんごい怒られた。私が悪いのに黙って一緒に怒られてくれた。今思うとアキかっこよすぎ!

そうだ、あのときみたいに誰かに道を聞こう。きっとそれが一番いい。


・・・・・人が見当たらない。


こんな人気の無い場所に何で来ちゃったの私。

それじゃGooqleマップで・・・・あ、人いた!出てきた!ついてるよ私。よし、あの人に聞こう。


「あの、すみま・・・・!」


近づいて声を掛けてから気付いた。おそらく中年の男性、フードを被りマスク着用。見るからにかなり怪しい。ひょっとして例の不審者?

するといきなり距離を詰めて手を掴んできた。


「ちょっ、離してください!」


抵抗すると不審者がナイフを取り出した。


「ひっ・・・・」


思わず声が出た。どうしようどうしようどうしよう

助けて、誰か助けて、助けて


「アキ・・・」


するとその願いが通じたのか、男の背後にはいつの間にかアキがいた。アキは大きく足を振りかぶり思いっきり金的をかました。


「オラッ!」


「ぐっふ!っんわえぬんう!」


悲痛な叫びと共に男が膝から崩れ落ち股を押さえる。

アキは男を無視して私の手を掴んで走り出した。


「逃げるぞ!」


「う、うん!」


それから私たちは何処へともなく逃げた。







「ハァ・・・ハァ・・・ここまでくりゃ大丈夫だろ」


「ハァ・・・ハァ・・・まさか二度も逃げることになるなんて」


行き着いた先は小さな公園。休むためベンチに二人は腰かける


「にしてもいい前蹴りだったね」


「そうか?まぁ、一度お前の見たからな。武器持ってる相手にどうしようかと思ったんだが咄嗟に思い出してな」


「ありがとね助けてくれて。それと急に逃げてごめん」


「そういやお前、なんで逃げたんだ?」


「あーそれはその、は、走りたかったから?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


香菜子自身も苦しい言い訳にしか思えなかった


「まぁいいけど」


ほっと胸を撫で下ろす


「警察に電話しとくか」


「あ、そうだね」


明人がポケットに手を突込みスマホを取り出す


「あ」


が、手から滑り落ちてしまった。


「なにやってん・・・・」


「あーすまん・・・・?」


落ちた明人のスマホを拾おうと香菜子が手を伸ばすがそれは途中で止められた。それどころか全身が硬直し、身体中の血液が集まっているかのように顔が赤かった。

香菜子はある一点を凝視しているように見えた明人はその目線を辿る。


「!」


そこには自らのスマホがあった。当然だ。さっき、自分が落としたのだから。しかし、映し出されていた待ち受け画像が問題だった。


明人が待ち受けにしていたのは香菜子の寝顔だった



展開が急すぎるだろうか

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