勉強
前書きって何書きゃいいんだろ
「ねぇ、これどうやるの?」
「それは相加相乗平均だな。ほら、左辺に足し算の形、右辺にルートの形がつくれるだろ?」
「あぁ、なるほど」
「なぁ、この給うは謙譲か?尊敬か?」
「ん?それ、命令形になってるじゃん。命令形になるのは尊敬語だけだから、それは尊敬語」
「サンキュー」
私は幼馴染みの樋田明人の部屋にお邪魔している。もちろんベランダから移動して。
教え合いながら勉強中。私は文系でアキは理系。しかし、文系でも数学はやらなきゃいけないし、理系も国語はやらなきゃいけない。なのでお互いの長所でお互いの短所をカバーしているのだ。
今は無言。どうしてもわからないことがあったら聞くというのがこの場でのルールというか暗黙の了解というやつだ。答えをすぐ聞いたのでは意味がないからね。
ところで、だ。異性をあっさりと部屋に入れちゃうのはどうなのだろうか。いや、今更なんだけどさ。私も普通に入っちゃってるし。てか何回も入ってるし。とはいえ年頃の男女だよ?なんとも思わないの?
私のこと、異性として見てないの?
「休むか?」
「・・・・え?」
「いや、結構時間経ってるし、手止まってたから疲れてんのかなって」
「う、ううん、大丈夫」
「無理はすんなよ」
「うん」
・・・・優しいなぁ。よく見てるなぁ。言い方が雑だけと。まぁ、かといって「無理はしないでね☆」とかは嫌。これぐらいが私にとってちょうどいいと思う。・・・・・・たまにムカついちゃうこともあるけど。
今はとりあえず集中しようかな。心配されちゃったし。
「んっ~~~~、そろそろ休憩しよ!」
私は軽く伸びをして提案する。
「なら飲み物と菓子でも取ってくるわ」
「よろしく」
アキが部屋から出ていった。
「ふ~」
一息ついて机に伏せる。疲れた。動いたわけでもないのに体が重い。体重は軽いけどね。軽いはず。うん、きっと軽い。
なんか眠くなってきたなぁ。そういえば目を閉じるだけでも休まるって聞いたな。寝るつもりはないけど、ちょっと目を閉じよう。
「持ってきたぞ・・・・・って」
「すぅ・・・・・すぅ・・・・」
「寝てるし」
「すぅ・・・・・・すぅ・・・」
「・・・・風邪引くだろうが」
ん?なんだかいい臭いがする。いや、正確にはいい臭いというより私の好きな臭いって感じだ。なんの臭いかはわからないけど。寝返りをうってボフッと枕に顔をうずめる。あぁこの臭い好きだな。・・・・・枕?私机に伏せてたよね?っていうかいつの間に寝ちゃったの?
バッと勢い良く起き上がるとさっきと同じくアキの部屋だった。ただ、私が寝ていたのはアキのベッドだった。
「よぉ、起きたか」
「な、なんで私、ここに?」
「そりゃ、俺が移動させたからな」
「どうやって?」
「どうって、普通に抱えて」
彼がどう抱えたのかジェスチャーで伝えてくる。見る限り、どうやら私はお姫様抱っこされたようだ。嬉しい・・・・じゃなくて!
「さ、最低!馬鹿!変態!女子の体勝手に触るってどうなの!?」
「いや、そのままだと風邪引くかと思ったから」
「!」
し、心配性だなーもう。なにそれ、超嬉しい。
「それは、まぁ、ありがとう・・・・・・でもこれからはやめてよね」
「はいはい。お前もところ構わず寝たりすんなよ。ここ一応男の部屋だからな」
「あ、うん」
私がアキに対して思ったことをそのまま返されてしまった。まるで私がアキのこと異性として見てないみたいに。
「もう帰った方がいいんじゃないか?時間的に」
「そ、そうだね。それじゃ帰るね」
「おう」
私は勉強道具を持ってベランダから自分の部屋へと戻り、まだ眠いので道具を置いてベッドにダイブ。
臭いがしない。アキのベッドはよかったなぁ。
・・・・・・ひょっとしてあれってアキの臭い?え、それを私クンカクンカしてたの?
あまりの恥ずかしさに脚をバタつかせ、ゴロゴロと転がりながら悶えてしまう。
変態なのは私だったのか
後書きって何書(ry