幼馴染
「ふぅ」
部屋に鞄を置いて一息つく。学業に部活と学校というものは本当に疲れる。硬っ苦しい制服を脱ぐためカーテンを閉めようとするのだが
「あいつ、またカーテン閉めずに・・・・」
あいつとは、隣に住む俺と同い年の浅田香菜子、幼馴染みだ。カナの部屋と俺の部屋にはベランダがついている。簡単に行き来できるほど近い距離だ。それだというのにカナはカーテンを閉めずに着替えている。急いで俺はカーテンを閉めた。こういうのはこれが初めてではない。しかし、いつもというわけでもないのだが。ふとしたときにたまに彼女はやってしまうのだ。てか、普通逆じゃね?女のあいつがそういうのに気配るんじゃないの?
コンコン
窓を叩く音がする。
着替えた俺はカーテンを開ける。そこには顔を赤くしたカナが立っていた。窓を開ける。
「・・・・・・見た?」
「いやお前が見せびらかしてんだろ。てか何回目だよ」
「~~~~~~この馬鹿!」
そう言って殴りかかってくる。俺はそれを避ける。カナは空手を昔からやっていて事あるごとにこうして攻撃してくる。慣れとは怖いものでいつのまにか見切れるようになっていた。
「せい!」
「!」
こいつ金的狙ってきやがった。初めての技に避けられなかった。まぁ、避けられなかっただけでガードはできたわけだが。
「お前、男の金的は駄目だろ。いろんな意味で」
俺のダメージとか、お前の足に伝わる感触とかさ。
「私もやりたいわけじゃないんだけど、いい加減一発あんたにいれたくてね。いろいろ練ってたのよ」
「それだったら対戦相手のこととかにしろよ。なんで俺のことばっか考えてんだよ」
「な!?べ、別にあんたのことなんか全然考えてないし!馬鹿じゃないの!?ていうか、覗いたこと謝れ!」
「あーはい、どうもすみませ、んっ!」
言い終わる前に回し蹴りしてきやがった。
「チッ」
「女の子が舌打ちするんじゃありません」
「うるさい!」
そのあとも殴る蹴るの連続。一度も当たっていないが流石に疲れる。さっさと帰ってもらおう。
窓の前に立つ。カナが右拳を突き出してくる。それを避わしざま掴んで体を半転させ後ろへと引く。体勢を崩し、前につんのめったカナの背中を軽く押し、窓の外へと導く。窓を閉めて一件落着。窓から睨んでくるのでカーテンを閉めてやった。
「はぁ」
疲れた。いい運動になったと言いたいところだが、正直しんどい。
まぁ、こんな幼馴染みとの日常だが、不思議とそんなに悪くない。ていうか、割りと楽しい。