おおかみの
「ぎゃんっ!!!」
熱い熱い痛い……!!
深く傷つけられた後ろ足の片方から垂れた血が足を滑らせる。
呼吸は徐々に乱れてきており、開いた口の端からは飲み込めきれなかった唾液が糸を引いていた。
それでも、ワタシは走っていた。
たとえ四肢が既にワタシの思いに反して限界を訴えようとも。
たとえ足だけではなく顔や腕、胴にも無数の傷がついていようとも。
ワタシは足を止めることはない。
“生き延びるのだ”
親から子へと受け継がれたのは何としてでも生き残るための知恵。
“生き延びて子をなすのだ”
それが種としての本能。
だからワタシはひた走る。
生きて、生きて、生きて!!
生きるために、走り続ける……!!!