悪者は誰…?(2)
ピンポーン…
彼はインターフォンを押した。
「あ、いらっしゃい!…何でいるの?」
明るく出てきた姉は僕に気づくと睨みつけながらいったのだ。
「いつも一緒に帰ってて…がっ学校に忘れものしちゃったから取ってくるね。」
僕はその場にいることができるはずないと思った。
「なに言ってんだよ。話したいことあるんだろう。」
僕の目を真っ直ぐみて彼は言った。
「なに、そうなの?じゃあお姉ちゃんも聞いてあげる。」
ニヤリと笑った姉が僕の手を引いたのだ。
僕は不意に姉に手を握られた事を喜んでしまった。
「離して…下さい。」
口がいつも以上に動かない。
「なに言ってんの?姉にたてつくとか意味わかんない。早く入ってよ。彼が困ってるでしょ。」
「……ごめんなさい。」
「全く…」なんて言葉を漏らしながら彼女は家の中に入っていく。
僕はもう逃げられない事を悟る。
ただ真っ直ぐ僕を見る彼は多分今から地獄を見るのだ。
僕は1つ1つ処刑台の階段をのぼる。
上では姉が待ち、下ではこれからなにが起きるかもわからない彼が待っている。
この誰にも届かない声を誰かが拾ってくれる事を祈るだけの僕には助けの手が伸びることはないのだ。
これからラストスパートに入っていきます。閲覧ありがとうございました。