番外編『クリスマス』
少し悲しい話も織り込んでますが、楽しく読んでもらえると嬉しいです。
「なあ、明日暇?」
彼は僕に話しかけてきた。
「へっ!あっあぁ!暇だよ?」
びっくりしてすごい声がでてしまった。
とても恥ずかしい。僕は下を向いた。顔が赤いことが自分でも分かる。
「どっかでかけようぜ?」
「うん。出かけたい。」
素直に出た言葉。自分でも驚いた。こんなにきれいに出るんだと思った。
「じゃあ、明日、11時に駅の時計台の下で。」
「わかった。」
約束をし僕たちは下校した。
次の日、僕は時計台の下で彼を待っていた。
「早く来ないかな。」
僕はわくわくして待っていた。
でもこのわくわくは長く続かないみたいだ。
「お前、こんなところでなにしてる?」
久しぶりに聞く声がした。
「お父さん・・」
「お前、今日は一日中勉強とお母さんから聞いてるぞ?なぜ出掛けている?」
「ちょっと、学校のことでようじができて。」
「お母さんには言ったのか?」
「言ってません。」
強いビンタが僕のほほを襲う。
「家に帰りなさい。」
「でっでも!」
「口答えするな。帰りなさい。」
冷たい声が僕を刺す。
「…友達が来たら帰ります。」
「そうか、来たら絶対に帰りなさい。」
「はい。」
そうして父はその場から消えていった。
「お待たせ」
交代するように彼が来たのだ。
「なんかあった?」
「何にも無いよ?ほら、どこいく?」
僕は笑顔で答えた。
「ちょっとまって…ほほどうした?」
彼はとても驚いていた。
「ちょっと寒かっただけだよ!さっ、どっか行こ!」
「違うだろ?来い・・。」
彼に手首をつかまれ僕はついて行く。
「あがって。」
少し歩くと彼の家についた。
「え?・・どういうこと?」
僕は訳も分からずきょとんとした。
どうして彼は僕を家に入れたのかが分からない。
「寒いんだろ?俺の家今誰もいないし一緒にあったまろうぜ!」
「・・うん。」
この後、彼と話した。学校のことや自分のこと。初めて自分のことをここまで話した。
素敵なクリスマスだった。
家に帰ればまたいつもの日常に戻るのだろう。
彼にはまた新しいものを貰ってしまった。
もうこの気持ちを閉じ込めたと思っていた。
やっぱり、恋というものはしてしまえばこうなってしまうんだと実感した。
「ありがとう。」
「おう。また来いよ。」
にこにこして彼は言う。
僕も答えるように笑い返した。
閲覧ありがとうございました。
彼はたぶん、『やったぜ!』って思ってたんだろうな、なんて思って書きました。w