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鉛筆  作者: 桜枝 巧
3/4

でも、私はそれからTに誕生日プレゼントを渡すことはできなかった。

Tは次の日、つまり奴の誕生日の日、列車の人身事故で死んだ。

大学への下見の帰り道のことだったらしい。

駅のホームでふらついたところを転落、直後に入ってきた列車に轢かれ即死。

私が聞いたのは、それだけだった。

それだけを聞いて、私は自身の受験に戻った。


なぜ、Tが死ぬ前日に古びた文房具屋で鉛筆を一本だけ買ったのか。

自殺だったのか、事故だったのか。

Tに、何があったのか。Tが何を思っていたのか。

もちろん、全く気にしていないわけではなかった。受験当日、電車に乗り込んだとき、筆箱からシャープペンシルを取り出したとき、止めの合図で消しゴムを置いたとき、一瞬Tのことが浮かんだ。けれど、それだけだった。気にしないふりをし続けた。

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