ただいま、聖冠の里w
門扉が後ろで閉まると同時に、俺はある種の驚きを持った。
その理由が、余りにも前の世界である地球に似ているためだ。
ビルディング、家屋、店舗といった建物や、道路と歩道が別けられ、道路を通る車、道路寄りを通る自転車。どれも我が故郷日本で見慣れた風景だった。
どうやらこの世界は地球の、それも日本をベースにしたものと考えて良いみたいだな。(日本とこの世界のどちらが先に出来たかは今は置いといてだ)
じゃ、まずはやっぱりギルドに行きますかねwww こんな怪しい俺の嘘に付き合ってくれた『聖冠の里』にwww
…………道に迷ったったwww
現在噴水広場らしき場所で(俺だけではないがあくまでも心情的に)ぽつんと立っている。
正確にはギルドの場所さえ分からない俺だから迷うということさえ間違いなのかも知れないが、何にせよ俺このまま何もアクションが無ければ……餓死するかもwww
「イヤイヤイヤイヤwww」
待て待て待て待てwww そうだ、まず元の場所に戻ろうwww こんな性格な俺だが通ってきた道はきちんと覚えてるからなwww よし、そうしよう。
一度戻ることを決断した俺は回れ右をして、
「そこ退いてくれないかしら?」
直ぐ様に立ち退く!! その素早さはなんと瞬間移動かと見紛う程の素早さで……。
しかしその素早さも無駄であったらしい。なぜなら前後左右どこを見ても俺に行ってきた言葉では無かったのだから。
俺みたいな男はクラクション鳴らされれば全て俺に対するものだと思うやつで、今回のもそういった部類の勘違いみたいだ。……恥ずかしいわwww
とはいえならば一体どこからだと思うのは仕方無いことで、俺は噴水広場を見回す。
すると早くも見付かりましたwww そりゃそうで、だって分かりやすいもんwww
「いやいや~、そんなこと言わずにさ、ねっ? ちょっと遊ぼうぜ?」
なんか女性が男三人に絡まれてる様子。……訂正、あれはまだ学生だな、俺のセンサーが言ってるwww
まぁ男はともかくとして、おにゃのこの方は、超絶美女さんでありんす。
青髪ロングに翠眼でもう俺の好みのドストレートな容姿してますwww
「悪いけど私先約が居るから」
うっわぁ、その返しは失敗だなwww 見た目知的そうなのにwww ほら、男どものニヤツキが酷くなりやがったwww
「へぇ、もしかして女の子と? それなら俺たちも三人で好都合でしょ?」
ほっらぁ、おにゃのこはナンパされたら約束してるじゃなくて、もっと重い内容にしなきゃwww 大抵の男はそれで引いてくれ――
「男と待ち合わせよ。決まってるでしょ?」
――ここでまさかのカウンターキタァァァァ!!www これは予想外な展開www まさか男とはwww いや確かにあの容姿なら男の一人や二人居て当然だが、しかし予想外だwww
「へぇ? それなら男なんてほっといて俺たちと遊ばね? 色々と彼氏さんより俺たちの方が学べるぜ?」
だが男たちも簡単に引かない! むしろ小さく下ネタを入れてきやがった!www
「悪いけど多分もうそこに来てるから……」
と言いつつ周囲を見回すおにゃのこ。とそこで俺は彼女と目があった。そりゃそうだ、俺はあちらを見てあちらもこちらを見れば目はあうもの。
そう、目はあうものだが……何やら俺の危機察知レーダーが赤く鳴り響いている。
……なんかヤバイな、逃げるか。そう判断したのも時すでに遅し。おにゃのこは『何故か』俺に近付いてきた。
「うし、帰る――」
「久しぶり、貴方」
いや待て。お前今十メートルは離れてたろ? それが一気に俺の腕とか素早すぎね? 加えて貴方って……それは少し無理有るだろwww
「あ? このひょろそうなヤツが彼氏なのか?」
「いいえ違いま――グムッ!?」
「そうよ? でも人の彼氏をひょろそうって言うのはどうかしら?」
ちょっと待てコラ。どこに彼氏の口を塞ぐ彼女が居る。それも手で。そこは普通キスだろキス。それと男どもも男どもでなーに納得してんだ。どう考えても嘘だろwww 分かれやwww
「ちっ、なんか冷めたな。まぁ良いか。次行こうぜ次」
え? そんな簡単に諦めんの? 早すぎじゃね?
そんな俺の心中に気付かない男は別のターゲットを探しに行った……え? マジ? ここで撃退展開とか無いの? いや、そりゃバトルしたくないけど……。
「これで良しね」
とここで漸く俺の口が解放される。けれど「はい終わり」とは行かせないこれ当たり前。
「おいテメこらぁ。なに人様巻き込んでんだ、あ゛ぁ?」
「何かしらその頑張って威嚇してますって感じ。なんだか可愛いわね」
可愛い……だと!? 俺がリアルで、または数々の本やゲームで学んだ恐怖の不良スタイルが可愛いだと!? そんな馬鹿な……。ま、良いや。
「つうかなんだ? 話見聞きしてたが結局あんた彼氏居ないのか?」
「私は要らないものは作らない主義なのよ」
さいですか。ま、そこは各々の主義主張が有るわな。俺も要らない派だし。それに俺には妹が居るからなぁ、妹を裏切るような真似はしたくないんだ(キリッ
「ま、良いや。それよりあんた、『聖冠の里』っつうギルド知ってるか?」
丁度人に聞くチャンスが出来たのだ。それに彼女に利用されたのだからこれくらい聞いてもバチは当たらんだろ。
どうやら、その名前に思い当たりは有るようだが、なにやら訝しげな目で見られる。
「知っては居るけれど、どうかしたかしら?」
どうしたもこうしたもねぇよwww 俺は聖冠の里にお礼しに行かなきゃなんねぇんだよwww 無論あわよくば衣食住揃えれないかなぁという下心も当然にして有るwww
が、馬鹿正直に言えば、門で虚偽したことがバレてしまうので、誤魔化すことした。
「いんやぁ、知り合いが今そこに居るらしくってなwww 久しぶりに会おうと思ったんだが場所分かんなくてさぁwww」
あられもない嘘をげらげらと笑いながら吐くのがお手の物の俺。
俺のこの世界の知り合いとなると門番A、Gにこの淑女、まぁ精々さっきの不良ぐらいか。
俺、友達0人、知人四人(多く考えてもだwww)なんだなwww 寂しいやつだなwww ぷぷっwww などと自虐する。
しねぇとやってられねぇよwww 我がマイキューティーラブリースウィートシスターにも会えないんだしwww ホントやってらんねぇぜ。
「……そうね。貴方を利用したのだから教えてやっても良いのだけど、そろそろ待ち人が来るから口頭で良いかしら?」
「いやいやもう充分だわwww」
コミュ障症候群の私からすれば道行く人に聞きづらいかんなぁwww
「そう。じゃあ――」
と、俺は淑女から聖冠の里の場所を聞き、礼を言ってその場をあとにした。
彼女から聞いた道をきちんと間違えず進んでいくと、周囲の建物より一際巨大なビルへと辿り着いた。
あくまでも俺個人の意見になるが、こういうギルドとか呼ばれる建物は、木造建築っつう認識が強かったわけだが、この世界のギルドはそうでなく、完全なガラス張り張りのビルディングだった。
それも生半可な大きさではないほどの超高層ビル。
目測だが、三十階建ての三百メーター越えはしていると考えられるビル。
俺の暮らしていた場所が都心から少し離れた所に位置しているためあまりお目にかかることは無かったが、それなりに高いことは理解できた。
「うっへぇwww なんか入るの怖くなってきたんですけどもwww」
そもそもが人ゴミ――訂正、人混みが苦手な俺からすれば大きな建物に入るのすら難関なわけでwww
かといってこんなとこで立ち竦んでは何も始まらないわけでwww
「えぇいままよっ、なるようになるさ!www」
俺はそう自身に言い聞かせて、ビルディングへと一歩、足を踏み出した。
「うへぇ……」
自動ドアを通って中に入った俺は、感嘆と辟易が五分五分混ざった息が無意識に出てきた。
感嘆は内装に対して、辟易は人の多さに対してだった。
正確な人数は分かり得ないが、確実に言えるのは、百人は居る。それだけは断言出来る。
フロントには受付嬢が座っており、幾人もの社員? 客? が群がっている。
フロントデスクの向こうには何人もの社員が、パソコンを叩いたり、電話に対応したりと忙しく働いており、これがまた、俺の考えていたギルドとはかけ離れた光景に思えた。
待合なのかフリーなのか、白い丸机に椅子、及びソファーや長机が設置されており、複数人で会話、または一人で暇潰しなどをしている光景も広がっていた。
これ、マジで会社じゃんwww もう俺のギルドに対するイメージを完全に崩壊しに掛かってきてるしwww
いや、偏見かも知んないけどさぁ、ギルドっていやぁ、前述したよう木造建築で、中ではバーみたいな造りをしてて働いてる者は酒を煽ったりしたりしてる認識をしてたわけwww
それがこれ、もう大手企業じゃねぇかwww 大企業じゃねぇかwww
「こんなところで立ち止まっていたら通りを害するから避けた方が良いよ」
俺がそうやって立ち呆けて居ると、突然に背後からそう声が掛かる。




