償い~友人の最期~
登場人物↓↓↓
少女・・・人を苦しめ生きてきた
彼女・・・少女に恨まれ続けていた
風が吹き荒れる中、少女は独り、立ち尽くしていた。
横たわる彼女の前でただ独り・・・。
目の前にいる血まみれの彼女は目をうるわせながらこちらを見ている。
そんな彼女の目をキッと睨みつける少女はボロボロになった肌着を握りしめながらただただ立ち尽くしていた。肌着一枚しか身につけていない少女の体は小刻みに震えていた。
何も口にせず少女に向ける視線を逸らそうとしない彼女は何を思うのか・・・。
長い髪は血で染まり、血が染み込んでいる服は彼女の体に纏わりつき離そうとしない。
しばらく対峙していた末、少女はしゃがみ込み、それと同時に彼女の視線も下へとずらした。
少女は彼女の髪を崩したかと思うと自分の手に付着した血液を彼女の右頬に押し付けた。
そして、指の跡が微かに残った彼女の右頬にビンタを喰らわせた。
その音はよく響いた。が、誰も聞いていない。だってこの場にいるのは少女と彼女の二人だけ
なのだから。
「どうしてなの・・・どうしてこんなヒドイことばかりするの・・・あなたは昔からそうだったわ。友達を苦しめ、その度に喜んでいたもの。いじめという言葉では物足りないほどヒドイことばかりしてきたはずよ?あの子達は本当にかわいそぅ・・・っっっ!!」
少女は先程とはケタはずれのビンタを喰らわせた。
「友達・・・?別に友達なんかじゃないわ。あんたがなぜ今こういう状況なのかわかる?」
「今更何を言ってるの。あなたは私を殺そうとしてるんじゃないの?なんで私だけじわじわと傷めつけていくの・・・。なんで他の人と同様一気に殺さないの・・・?」
「それは・・・あんたがあたしの唯一の友達だからだよ」
少女は笑みをこぼしたまま彼女の髪を鷲掴みにすると、
「あんたはそう思っていなくてもあたしにとっては友達なのよ。ほら、食卓のデザートは最後にとっておくでしょ?これも同じ。おいしいものは最後までとっておいてゆっくり味わいたいもの。だから、一気に殺すなんてもったいないことしないわよ」
「私に恨みがあるんでしょ?だったら、はっきり言って。ちゃんと謝るから!・・・許して」
鷲掴みにしていた手に力を入れ、自分の顔に近づけ少女は彼女に満面の作り笑いをした。
「ごめんじゃ済まされないわよ。ちゃんと償ってもらわないと・・・」
「何を・・!何をすればいいの?!」
少女から笑みは消えた。
「死んで・・・?そして地獄に行きなさい」
少女は再び作り笑いをした。
「あたりまえでしょ?これがせめてもの償い。一人でのこのこ天国行くなんて許されることじゃないわよ」
ふいに彼女の目から涙がこぼれ落ちた。
「人の命って簡単に失われていくのね・・・」
「そうね。すぐ殺されてしまうもの。どうして神様はこんなに弱いモノをつくったのかしら」
「きっと試してるんだわ。私たち人間を・・・」
ガラスの破片が彼女の腹部に突き刺さり、口から大量の血液が溢れ出て彼女は静かに眠っていったのであった―――――
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