冬*サヨナラのメリークリスマス。
「♪~……ょしっ!ok!」
私は最後の練習を終え、ギターを持ち吉野君の家に向かった。
「!!だ、大豪邸……」
私の目の前にあったのは、どでかい豪邸。この家が空き家になるのか………。
「…ぇ……ぁ、………ぅ。」
裏から話し声が聞こえる。誰?
私は走って裏に向かった。
「!あ!」
そこには、吉野君と吉野君の両親らしき人が乗るリ◉ジンがあった。もう走ろうとしている………!
「ちょっと待って!!走らないでください!!!!」
吉野君はその声に気づいたのか、窓を開けた。
「八城さん…。」
もう、私が吉野君の前で直接歌う時間がない。な、なんて言おう…………。あ、あれがあったあれがあった!
もしドキドキしすぎて歌えなかったよう用のカセットテープ。ーーこれを渡せばーー
「吉野君!!め、メリークリスマス!コレ!私からのプレゼントだよ!聴いてね!………サヨナラ。」
私は早口で言った。そしてくるっと回れ右し、逃げるように走った。
ボロボロ涙がこぼれてきた。それでも走る。走る。走る。
ドンッ
「ご、めんなさ……お、お姉ちゃん?!」
「詩音!どうしたの?」
「ッお姉ちゃーーーっんっ…………ッヒック……ヒックッ」
私はしゃくりあげてしまってもうものが言えなかった。
「……落ち着いてからでいいよ。ゆっくり聞かせてね。」
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「ーーーでね、その子が今……東京に行っちゃったの……」
私とお姉ちゃんは家に帰って、ソファに座っていた。
「……………………………きっと、伝わるよ。今あたしには、それしか言えない。だけど……………………
詩音がその子を好きで、その気持ちを忘れないでいたら、それが『きっと』じゃなくて『絶対』になるかもしれないよ……」
今の私にはお姉ちゃんのその言葉が、凄く力強く感じた。
「忘れるわけないよ!」
「うん、その意気だよ!」
*・゜゜・*:.。..。.:*・お姉ちゃん、ありがとう………!'・*:.。. .。.:*・゜゜・*