夏*向日葵を眺めて。
「あっつーーーーっい!!もー、なんとかしてーーー!!!」
私は、新しく出来た、学校の花壇に堂々と咲く、向日葵に向かって言った。
「だから私は夏が大っ嫌いなの!暑いから!向日葵、あんたも大っ嫌いよ!!」
夏の湿気が多いムシムシしている所で新しい曲を考えるのは、最悪だ。あんまりだよ………。
「だからといって植物に向かって八つ当たりすんなよ………。」
ま、まさか、この声は………! 私は声のする方を見た。そこには…
「吉野君!!久しぶりだねー!なんで最近こなかったの?ビョーキ?何?」
早速質問攻めである。この癖は直した方がいいな…………。
「いや、病気じゃなくてちょっと……」
「ふぅーん……」
少しの沈黙。な、なんだこの気まずさは……
「ねぇ八城さん、なんで向日葵嫌いなの?夏に咲くから?」
おっ、吉野君が質問してくれた!!
「向日葵ってさ、『日の方を向く』って漢字じゃん。向日葵にとって太陽はお母さんみたいなもんでしょ。花の形がにてるし。いつまでも遠くにいるお母さんを見て甘えてちゃダメじゃん。だから向日葵は嫌い。」
私は断言する。すると吉野君は_____
「………ップッ!俺はそれと同じような意味で向日葵が好きだよ」
わ、笑った………。笑った所は、初めてみたなぁ///
…じゃなくてっ!
「どういう事?」
「向日葵はさ、『お母さん』が大好きなんでしょ。だから、遠く離れたお母さんに逢いたくて逢いたくて、お母さんの方__進行方向を向いて天に向かって伸びるんだと思う。俺は、そういう向日葵が好きだな……って、本当に向日葵がそう思ってるかはわからないけど」
ふ、深い…………!そして、凄い!
「負けたぁぁぁっっ!!その理由はすごすぎる!泣けてくる!」
「んな大げさな」
「お世辞じゃないよ!なんかそんな向日葵が咲く夏がちょびっっっとだけ好きになったかも♪」
ちょびっっっとだけ。ちょびっっっとだけだけど、君のおかげで好きになれた気がする。
君には、人の考えや思いを動かす力があるかもしれないな……。
っとそう思ったらそれを歌詞に入れよう!膝においてあった鉛筆を持つ。
「ん?それ何?」
っあぁぁぁっっ!!よ、吉野君が居たんだった………。『吉野君の歌です』なんて言えるか!///
「あ、これ?これは………楽譜!私シンガーソングライター目指してるんだ♪」
「シンガーソングライター………。いいじゃん!じゃあその曲全部作り終えたら俺に聴かせてよ♪」
「うん♪1番に吉野君の前で歌うよ!」
だって、君のためにつくった歌だもん。
「楽しみにしてる。」
「うん!」
私が大嫌いだった真夏のある日____。