白紙:プロローグ
ゆるーい青春?物語。
四月、私、本田真知はこの青霧中学校にやってきました。
私は二年に上がると同時に転校してきたので、この学校の事はまったく無知です。
そして今は対面式の真っ最中。
新しくやってきた一年生のために各部活が紹介をかねて発表をするのです。
ほとんどの運動部は練習の様子の再現、吹奏楽と合唱部は実際に合奏と合唱。
「~部の皆さんありがとうございました。次は美術部です。美術部の皆さんお願いします。」
生徒会のアナウンスが聞こえ、どこに隠れていたのか美術部員が駆け足でやってきた。
「えっと、きょーつけ、れいっ!」
ざっと数えて五人ほどの人数だ。・・・五人!?少なくないか!?
部長と思わしき人がマイクを握り、その横に並んでいる人達は手に作品を持っている。
「え~、美術部です。まず月ごとの行事の紹介です。三月から四月はこの前の卒業式の時に廊下に貼っていたイラストを書くことと、この対面式の準備です・・・ね。」
「えっと、それがこれです。」
失礼だが、太めの男子部員が両手を広げそのイラストを周りに見せる。
横長のその画用紙に描かれていたのは女の子が二人、背をむけている可愛らしいものだった。
(うわぁ、かわいい。というか上手だな。)
私も絵はほかの人より描くほうだし、褒められる事もあるけど、レベルが違う気がした。
「え~っと、次に五月から六月ですがここは何もありません!暇です。」
周りの生徒がどよめく・・・というか笑い出した。
「七月から八月がもっとも忙しい・・ですね。学校祭でのモザイク壁画にバック絵。色々あります。
ですがここから先は特に何にもありません!」
暇すぎじゃないか?この部活・・・。
「それぞれ好きな事をその期間にやってます。例えば・・・、切り絵や粘土とかですね。」
「こんな感じです。」
女子二人が手に粘土の作品を持ち、もう一人の子が切り絵を持っている。
驚いたのは切り絵だった。虎がとても綺麗に切り出されていてすごく迫力がある。
「えーっと、これで大体の説明が終わります。とても楽しいので、皆さん来てみてください!」
「きょーつけ、れいっ!」
「「ありがとうございましたー!」」
拍手が体育館を包み、対面式が終わった。
教室に戻ると最近仲良くなった子が話かけてきた。
「ねぇ、本田さん。どの部活に入るか決めた?」
そうだね・・・。私が一番入りたいと思ったのは・・・。
「うん、美術部かな。」
私は部員届けを先生に提出し、今日美術部員になったのです。