プロローグ1 死神試験
ハジメマシテ。小説書くのは二回目ですが、一回目は未完で終わったので今作は頑張りまーす。ヒマ潰しにどーぞー。
東京。某所。深夜。
「今日は五人もか。」
口にも出したくなるさ。今夜、五人死ぬ。まったく。テンションが下がる。ビルの屋上から屋上へ飛ぶ足並みが重くなる。
「馬鹿息子が。仕事が増えて文句を言う奴がいるか。」
親爺が俺よりも高く飛びながら、いつも通りの小言を垂れる。俺から言わせてもらえば死神の家系に生まれたからって、死神にならなきゃならないなんてフェアじゃないだろ?俺にだってなりたいものが―――。
「いいか純。十七の誕生日から十一ヵ月過ぎた。父さんが付き添うのは今夜が最後だ。五人程度、逝かすぐらい一人でできなくては死神として一人前にはなれないからな。見事クリアーしてみろ。」
…おいおい?
五人同時昇天なんてBクラスの死神ぐらいしかできないぞ?期待しすぎだろ?
てか親爺。明日の中間試験の事なんかキレイサッパリ忘れてやがるな?ったく、内申落ちたら親爺のせいだからな。
「純。死神ルール。」
第一問題ってことか?いやいや。空を駈けながら答えることか?
「其之一。魂を私的に刈るな。其之二。同業者と争うな。其之三。餌と深く関わるな。三つのルール、破りし者は地獄へ戻る。」
余裕だ。親爺の口元が緩む。こんなんで喜ぶなよ。
「純よ。死神はこのルールを覚えることから始めるが…」
「このルールが全てだ、だろ?耳にタコだ。」
親爺の口元がさらに緩む。まったく。厳しいのか甘いのか、どっちかにしてくれよ。
ビルを駈け続け、やがてマンションの屋上に辿り着く。ここで俺は足を止める。嗅覚に神経を集中。鋭くする。
甘美な甘い蜜の香り――〈魂〉の香りだ。
「このマンションの…そうだな。二階の一番奥の部屋だ。」
親爺の奴、ついに歯まで見せて笑いやがった。俺達はいくら姿を消しているとはいえ、声までは消せないんだぞ?俺の仕事ぶりを見ても、頼むから現場で声なんか洩らすなよ?
――さぁ、始めるか。さっさっと終わらせて少しはテスト勉強しなきゃな。