処す処す処す処す
ボクはため息をついていた。
手元のスマホの画面に、次々と流れてくる文字の羅列。
そこには熱狂的な声援もあれば、当然のように悪意も混ざっている。
知らないフリをしてあげているけれど……ユウクが、ボクに内緒でこっそり“悪口”を消しているのを、気づいていないと思ってるんだろうな。
いつも、ボクの悪口ばかりを選んで。
でも――実際に多いのは、ボクじゃない。
ユウクに向けられる心ない言葉の方が、比率的にずっと多いんだ。
それを見るたび、胸が痛くなる。
「……ボクのより、自分のを消しなよ」
そう思ってしまう。
ボクを優先してくれるのは、正直に言えば嬉しい。
でも、SNSのような毒に慣れてしまっていいわけがない。
少しずつ、じわじわと心を侵していくんだ。
ユウクは自分を顧みない。
きっと美談として語られるんだろうけど――ボクは知ってる。
それは、ただの無防備で、危ういところだって。
いつまでも守られてばかりじゃいられない。
子ども扱いされるのはもう御免だ。
ボクだって、守りたいんだ。大切な存在くらい。
だから、ボクは画面をスクロールしながら“選別”する。
処す、処す、処す、処す。
これも処す。
――ボクのユウクを傷つける奴は、全員処す。
マネージャーにスマホを渡して一言。
「これも処して」
せめてボクの見える範囲くらいは、綺麗にしておきたい。
ユウクには、優しい世界だけを見て生きてほしいから。
傷つかせたくないんだ。
ふと、笑いが込み上げてきた。
「……はぁ、ユウクを飼いたいかも」
あのイケメンを、ボクのヒモニートにして。
家で飼いならして。
ボクだけのものにして。
――ARASHI、それユウクの前で言うなよ。あいつ病むからな。
マネージャーが呆れた声で言う。
「言わないよ。今は、ね」
返した言葉に、マネージャーは眉をひそめた。
「……悪い顔してるなぁ」
でも、その声はボクの耳に届かなかった。
胸の中に渦巻く独占欲と執着心が、全てを塗りつぶしていくから。




