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とあるファンのライブ体験


開演10分前。心臓が、ずっとドクドクしてる。

ナイトエッジのライブチケットが当たったとき、夢かと思った。

友達も落選してたし、倍率100倍って言われてたから。


会場はこぢんまりとしたライブスタジオで、前の方の席だった私は

「もしかして……すごく近くで見れるんじゃ」と息を呑んだ。


周囲には既に泣いてる子や、うちわをぎゅっと抱えてる人たち。

みんな、それぞれの想いでこの日を迎えたんだろうなって思った。


会場が暗転したとき、

本当に、一瞬だけ世界が止まった気がした。


そして――

ふわっと光が差して、そこに彼がいた。


ARASHI。


テレビやMVで見たことのあるその姿よりも、

ずっと華奢で、ずっと儚げで、なのにそこに立ってるだけで

息が詰まりそうなくらい存在感があった。


「ナイトエッジのLIVEに来てくれて、ありがとう」


その一言で、空気が変わった。

周りの観客が一斉に歓声を上げる。私も拍手してた。

でも、次の瞬間、彼が指を立てて「シー」と囁いた。


そこから、会場が完全に“彼の世界”になった。


真っ暗な闇の中、静かに始まるリズム。

そして、その上に乗った――ARASHIの声。


最初のワンフレーズが、胸の奥にストンと落ちた。

気づいたときには、もう涙が出てた。


どうしてかは分からない。

でも、あんなに優しくて、あんなに強くて、

人の弱いところにそっと触れるような歌声――

あんなの、ずるいよ。


気がつけば、周りの人もみんな泣いてた。


彼の歌は、ただのパフォーマンスじゃない。

心を見透かされてるようで、でも包み込まれるようで、

息をするのも忘れるくらい、聴き入ってしまった。


途中、音が跳ねた。

そこに現れたのは、もうひとりの光。


ユウクさん。


キレのあるダンス、身体全体が音になってるみたいだった。

ふわっと舞って、鋭く切って、リズムと一体になる。

その表情はARASHIとは対照的で、

明るくて、でも芯が通ってて――すごくカッコよかった。


ARASHIの歌に、ユウクのダンスが重なるたびに、

ステージが“完全”になる感じがした。


2人が一緒に歌ったときは、

本当に“神さまのライブか何かか”って思った。


……あっという間の2時間だった。


現実に戻ってきたのは、ARASHIのラストの言葉。


「今日は来てくれてありがとう。

 みんなに楽しんでもらえたら……嬉しいです。

 また、みんなと会えたら、もっと嬉しいです」


その声が、甘くて、あたたかくて、

さっきまでのあのクールな彼とはまるで違って。


……反則だよ、そんな笑顔。


周りからは「ぎゃあああ!!」「尊い!!」って声が聞こえてきたけど、

私も心の中で全力で叫んでた。

**“好きになっちゃうよ……”**って。


ユウクさんが慌てて出てきて、「サービスしすぎだって!」って言ってたのも

なんか微笑ましくて、2人の関係がすごくすてきで、

それだけでまた泣きそうになった。


最後にユウクさんが笑顔で言った。


「ナイトエッジを、よろしくねー! みんなー!」


会場は拍手と歓声で包まれて、

2人はステージを去っていった。


――あの夜から、私はもう、

ナイトエッジなしでは生きていけなくなった。




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