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ファンサと言う火はまかれた

タイムラインが爆発したのは、通知が100件を越えたあたりだった。

画面の一番上に、あの“火力高い”文面。胸がドンと鳴る。


> 明日はライブ本番だけど、お前ら駄犬共ちゃんと準備出来ているか?

#ライブじゃなきゃ意味は無い #駄犬共全員虜にしてやる #忠誠心見せてみろ




……はい、無理。眠れない。呼吸浅い。好き。

気づけば指が勝手にリツイートを連打していた。


「犬小屋(非公式)」っていうファンのグループDMも一瞬で動き出す。

—「来た」「火力やば」「今日寝れるやついる?」

—「いない。今から並ぶ準備する」

—「布教任せろ。駅前ポスター前でビラ配る(※私製)」

—「ARASHI様、今夜も駄犬を煽ってくるね……ありがとう……」


“駄犬”って最初はびっくりしたのに、もうこの言葉が合図みたいになってる。

首輪なんか持ってないのに、胸の奥にきっちり輪っかがはまる感覚。

「忠誠心見せてみろ」って言われたら、見せるしかないだろ。吠える準備はできてる。


チェックリストを開く。

チケット、身分証、ペンライト(点灯確認OK)、タオル(2枚)、替えTシャツ(ARASHI黒/ユウク白)、水2本、モバイルバッテリー、遠征先のカフェの開店時間スクショ。

追記:限定リストバンドの列、何時から並ぶか問題。

DMに投げたら「始発」「いや前泊」「いや今から」って地獄のコール&レスポンスが返ってきて笑った。いや、笑ってる場合じゃない。負けられない戦いがそこにある。


ハッシュタグがぐんぐん伸びていく。

#布教しろ って言うから、ちゃんと布教もした。

今日乗ったタクシーの運転手さんに「ライブは生がいちばんです」って語ってしまったし、コンビニの店員さんに「このペットボトル、明日ARASHIに捧げます」って謎宣言してしまった。

帰宅して家族LINEにもURLを投下。「明日、駄犬になってくる」って書いたら、おばあちゃんから「わん」って返ってきた。最強。


正直、ARASHIは怖い。スクリーン越しじゃなくて、生のスポットライトを浴びるあの人は、刃みたいに鋭い。

けど次の瞬間、ふっと笑う。あの柔らかさで全部を溶かしてしまう。

そのくせ、こっちの心臓は焼き切れる。だから「ライブじゃなきゃ意味はない」って言われると、そうだよね、って膝をつく。

この人に会うために、日々を回している。仕事も学校も、全部はこの一行のための助走。


ユウクのことも、もちろん好きだ。

あの人が横にいると、ARASHIがもっと“悪い顔”になるのも知ってる。

今日だって、きっとARASHIの裏でユウクが「ちゃんと寝ろよ」って言ってる。

明日ステージで、二人がリストバンドを“逆カラー”でつけて出てきたらどうしよう。泣いちゃう。倒れる。救護班さんよろしくお願いします。


アラームを3つセットする。

1つは始発、1つは二度寝防止、もう1つは“起きなかったら諦めろ”用。

布団に潜りながら、タイムラインをもう一度だけ刷新する。

通知がまだ鳴り止まない。全国の駄犬が、遠吠えみたいに一斉に吠えてる。

「行こう」「会おう」「生で見よう」――合唱みたいな文字の波。


目を閉じる前、ツイート欄に指が落ちる。

「明日、忠誠心見せに行きます。首輪はいらない、声があればいい」

送信。震える指。でも、それでいい。震えたまま会いに行くんだ。


明日、光の海で――

ARASHIが「駄犬共」って呼ぶ声を、肺が痛くなるまで浴びる。

そしてこっちは、全力で吠える。


#さぁ祭りの始まりだ

#ライブじゃなきゃ意味は無い

#駄犬共集合

#またな♡



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