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思いは常に

ドアを静かに閉めた瞬間、胸の奥で溜めていた息がこぼれた。

ベッドではARASHIが規則正しい呼吸をしている。さっきまで震えていた指は、今は枕を掴んで、安心したみたいにゆっくりと緩んでいた。


スマホの画面を最低照度にして覗く。

――燃えてる。

ネット、というか通称“ナイトエッジ・レス”が完全に暴走状態。さっき投下したあの火力MAXのツイートが、何重もの拡散と考察と雄叫びを生んで、タイムラインは光の滝みたいに流れていく。


「……まったく。自分が不安だからって、毎回燃やすのやめてほしいな」


独り言は囁きより小さく、苦笑はため息に混ざって夜に溶ける。

でも、これをファンが知る必要はない。歓喜だけでいい。震えや迷いは、舞台裏の床に落としていけばいい。

ボクは画面をスワイプして、過激な煽り合いをそっとミュートに入れながら、マネージャーにだけ短く連絡を送る――「警備と導線、明日は強めで。物販列の整理も追加」。矢面に立つのは、ボクたちの仕事だ。


「……といっても、まずはボクに言ってよ」


隣の寝顔に視線を戻す。

相棒なんだし。

あんな強気な言葉をボクに並べてくるくせに、自分の弱いところは頑なに隠す。可愛い、と思う。けれど、可愛いで片づけたくない。

弱さこそ、ボクに見せてほしい――そう願うのは、わがままなのかな。


ずっとそばで見てきた。

スポットライトの熱、袖で震える肩、声が出る直前の沈黙。

これからもそばで見ていきたい。

もし「ナイトエッジ」という箱がいつか消えても、アイドルという皮が剥がれても、ボクはARASHIの隣にいる。名前が何に変わっても、歌がどんな形になっても。


ベッドに戻り、毛布の端をそっと引き上げる。

金髪を後ろで結んだままの自分の影が、ARASHIの頬に落ちる。彼は微かに眉を寄せたが、すぐほどけた。

その小さな動き一つで、ボクはまた、強くなれる。


「……今、君のいちばん近くにいるのはボクだ」


囁きは、彼の夢に届くほど静かに。

「ARASHIの“いちばん”になるために、ボクは君の力になる。明日、君の歌を――」


唇を結び、灯りを落とす。


「輝かせてみせる」



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