#41 自白
私が捕まえた怪しい人物の正体は小鳩だった。
小鳩は観念したのか何やら白状し始めた。
「全てはクロウさんのため。私がいなくても、誰かが成し遂げてくれる」
そう小鳩は笑って言った。
「クロウって誰だ」
「カラスノさんのことだろう」
疑問を口にする愛佳に対して、答えを授けながらやってきたのは美幸と香純だった。
「やっと追いついたよ」
美幸はそう言っておどけて見せる。
緊張していた場が少し和らいだところへ、しばらく考え込んでいた緑が口を開いた。
「以前、カラスと呼ばれる人物を信奉する者によって刃傷沙汰が起きました」
緑が放ったのは衝撃の事実だった。
「犯人は元生徒で、事件後不登校になった後、退学したそうです。
幸い、狙われたのはわたくしだけでしたので、大事には至りませんでしたが……この事件と関係はあるでしょうか」
そんな事件があったならもっと騒ぎになっているはずだが、私は一度も聞いたことがなかった。
「そんなことあったの?大丈夫だった?」
「ええ。見なかったことにしてもらいましたから、ご心配には及びません」
「そうじゃないだろ……。刃傷沙汰ってことは怪我したのか」
「……大した怪我ではありません。かすり傷程度です」
今こうして元気にしているので心配するようなことはなかったのだろう。
ただ、毎日のように顔を合わせているのに気づかなかったのは少しショックだ。
「おそらく同じ人物だろう。あの人は皆から慕われていたからな」
ふと気が付くと小鳩が姿を消していた。逃げたと言っても、どうせ教室に戻る前に離すことになるので、見逃すことにした。
波乱のマラソン大会は、詳細を他の誰にも知られることなく再開し、無事に閉会した。
これからのことは内部事情に詳しいらしい美幸と香純に任せることにした。




