#40 正体
「なんでイベントごとに現れるかな」
「同じ感情を持つ者が集まりやすいためでしょうか」
「校外にも出るんだな」
疲労と混乱でぐちゃぐちゃになっている私と違い、二人は冷静だ。
今日はマラソン大会。
グラウンドを出て、学校の周りを走ってまた戻ってくるのはいいが、虹見高校は坂道に囲まれており、しんどいコースとなっている。
平地を走る他校の生徒がうらやましい。いっそのこと、大会自体がなくなってしまえばいいのに。
そんなことを考えながらダラダラと走っていると、大きな影とすれ違った。
そんなものあったか、と振り返って見てみれば、そろそろお馴染みとなってきた巨大な怪物がいた。
なんだか一気に疲れが増した気がする。
私は見なかったことにして先へ進むことにした。
おかしい。
走っても走ってもゴールが見えない。
それどころか景色も変わらない。
不思議に思って周りを見ると、一緒に走っていたはずの友人は見当たらず、先程追い越したはずの別の友人が前方に見えた。
他の生徒や教師は異変に気付いていないようだが、端には倒れている生徒もいた。
どうしたものかと思っていると、背後から声をかけられた。
「亜久里、無事か!」
「やっと見つけました」
まだまだ走れそうな愛佳と息も絶え絶えな緑。
対照的な二人だが、一気に光が見えたような気がした。
「もう駄目かと思った」
「諦めてなくてよかった」
「早速ですが、亜久里さんは見ましたか」
何を、が抜けているが、何のことかはわかる。
「見た!住宅街を曲がるとこ」
「だったらもうすぐだ」
私が怪物を見た場所に着くと、怪物は変わらずそこにいた。
様子を見るために立ち止まると、怪物がこちらに向かって動き出した。
そうして走り始めたところで冒頭に戻る。
「なんでイベントごとに現れるかな」
「同じ感情を持つ者が集まりやすいためでしょうか」
「校外にも出るんだな」
疲労と混乱でぐちゃぐちゃになっている私と違い、二人は冷静だ。
「こうなったら、せーのでやるぞ」
「何を」
「何でもいいから撃て!……せーの!」
私たちが放った弾が怪物に当たると、怪物は消えていった。
私は周囲を見回して、犯人がいないか探した。
すると、黒いローブを着てフードを目深に被った怪しい人物を見つけた。
すぐさま腕をつかんで逃げられないようにする。
フードをめくると、そこにいたのは、小鳩だった。




