#37 衝撃
彼らが動き出したのは、私が緑と愛佳の力になることを決めて、一週間も経たない内だった。
「亜久里いる!?」
昼休み、教室で駄弁っているところへ、愛佳が焦ったように駆け込んできた。
「どうしたの?そんなに慌てて」
「……っとにかく、ついてきてくれるか」
教室を見渡すと、愛佳は小声で話す。その様子があまりに必死なものだから、私は愛佳の言う通り、ついていくことにした。
愛佳を追って辿り着いたのは体育館だった。靴を持ってきていなかったので、靴下で入る。
歩きにくいし冷たいしで早く帰りたいと思っていると、中には巨大な怪物がいた。
「何あれ……」
怪物は身動きが取れないのか、その場でバタバタと暴れている。
「緑ちゃん!」
その先には緑がいた。怪物の攻撃を壁を張って防いでいる。
周囲には複数の生徒が倒れていた。
「待った」
すぐにでも駆け寄ろうとした私を静止し、愛佳は緑の元へ向かった。
愛佳はどこかから持ってきたほうきを武器にし、怪物に立ち向かう。
「『待った』って、じゃあなんで私を呼んだの?」
呼ばれた理由を考えて、私はひとつ思い出した。
「やー!」
私はいつか使った怪物を元の姿に戻すシキサイの矢を放った。
矢は怪物に届くとそのままかき消された。
距離?大きさ?速度?
何が悪かったのか考え、もうひとつ、またひとつと打ち込んでいく。
「緑ちゃん!」
壁が割られ、緑は怪物の攻撃をまともに受けた。
倒れていくその様子を、私は見ていることしかできなかった。
「モノクロショット!」
誰かの叫び声と共に、何かが私の横をすり抜けていく。
その軌跡が怪物を貫通すると、形を保てなくなったのか、怪物は崩れていった。
私の矢では為し得なかった一撃を放った正体を探し、振り返る。
その先にいたのは、いつか愛佳の件で協力した美幸と香純だった。




