#36 決意
「どう?気持ちは決まった?」
ある日の昼休憩、丁度一人になったところを見計らってか、誰かに突然声をかけられた。
正体は小鳩だ。
同じクラスなのだからいつ話しかけてもいいだろうに、なぜこのタイミングを選んだのか、そんなことはわかりきっている。
「あんな奴ら、どうなったっていいでしょ?」
ニコニコと毒を吐く彼女はきっと善意で言ってくれている。けれど――。
「私は!……私は、二人のこと、仲間だって思ってる」
「部長だから?歌なんてどこでもできる。違う?」
「違うよ。私は、二人と一緒に歌いたい」
「どうして」
私が二人と一緒にいることを選ぶとは思っていなかったのか、小鳩は焦ったように呟いた。
「緑ちゃんは、確かに他の人たちとは違うのかもしれない。でも、私たちを思って、救いをもたらそうとするその想いは本物だ。
ベリっちも、君たちの想いには添えなかったのかもしれないけれど、自分のやったことへの償いとして、自分のできることをしようって決意してる。
それに私、思ったより二人のこと気に入ってたみたい。こんなことで離れるなんて考えたくないよ」
二人と話した後、ずっと考えていた。
部員のことを気にしないで、私か二人のどちらかが辞めたとして、悔いが残るに決まっている。
緑はともかく、愛佳についても同じだ。短い付き合いなのに不思議な話だが、割とうまくやれていたらしい。
「後悔するよ」
「上等」
捨て台詞を吐いて去っていく小鳩を私はじっと見ていた。
「聞いてほしい」
音楽室に入り、挨拶もせず、靴も脱がないうちに私は言葉を発した。
「なんでしょうか」
「……決めたのか」
わかっていてしらばっくれる緑と直球な愛佳。こんなところにも性格が出てて面白い。
「うん。……あのね」
「これからも、よろしくお願いします」
この先どうなるかはわからない。
けれど、今は晴れた気持ちで練習に臨める。




